裁判例結果詳細
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行政事件
- 事件番号
昭和60(行ウ)5
- 事件名
町長解職請求者署名簿の署名に関する決定取消並びに右署名簿の署名の有効確認請求事件
- 裁判年月日
昭和61年3月24日
- 裁判所名
秋田地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 指印の押捺が地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)116条,92条1項にいう「印をおす」に当たるための要件 2 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)116条,95条にいう「解職請求代表者を通じて,当該署名簿の署名及び印を取り消す」の意義 3 郵便又は電話によりされた地方自治体の長の解職請求の署名簿の署名取消しの申出が,右取消しのため必要とされる右署名簿の署名及び印の抹消がされておらず,また,これを必要としない特段の事情も認められないとして,有効な署名取消しの手続を履践したものとはいえないとされた事例 4 郵便又は電話によりされた地方自治体の長の解職請求の署名簿の署名取消しの申出が,右取消しのため必要とされる右署名簿の署名及び印の抹消がされておらず,また,これを必要としない特段の事情も認められないとして,有効な署名取消しの手続を履践したものとはいえないとされた事例 5 地法自治法81条2項,74条の2第8項所定の署名簿の署名に関する訴訟において,被告である選挙管理委員会が,異議に対する決定において当該署名を無効とした理由以外の無効事由を主張することの可否 6 地方自治法81条2項,74条の3第2項にいう「詐偽」とは,署名の目的を偽って署名を求め,その他これに類する偽計を用いて人を欺罔して錯誤に陥らせる行為をいうとした上,「だれにもわからないから」と言われて署名を勧誘された者がこれを信じて署名したとしても,解職請求の署名簿と認識して署名した以上,詐偽による署名とはいえないとした事例
- 裁判要旨
1 指印の押捺が地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)116条,92条1項にいう「印をおす」に当たるとされるためには,人の指印と認め得るだけでは足りず,指印がある程度の大きさと相当の鮮明さにより顕出され,指紋を構成する隆線が他と比較対照し得ることを要するが,警察の指紋分類法のように厳格に隆線の固有の特徴を複数確認できることや外国人登録事務取扱要領に準拠したものであることまでは必要としない。 2 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)116条,95条にいう「解職請求代表者を通じて,当該署名簿の署名及び印を取り消す」とは,署名者本人が右代表者に右取消しを申し出るとともに,特段の事情のない限り,右代表者又は署名収集受任者の下にある署名簿の署名押印を自ら抹消することをいう。 5 地方自治法81条2項,74条の2第8項所定の署名簿の署名に関する訴訟において,被告である選挙管理委員会は,異議に対する決定において当該署名を無効とした理由以外の無効事由を主張することができる。
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