裁判例結果詳細

事件番号

昭和62(行ケ)1

事件名

選挙無効請求事件

裁判年月日

昭和63年10月27日

裁判所名

広島高等裁判所 岡山支部

分野

行政

判示事項

1 地方公共団体の議会の議員の定数配分を定めた条例の規定の違憲,違法を理由として選挙の無効を求める訴えが,公職選挙法203条に基づくものであるとして,適法とされた事例  2 公職選挙法271条2項に基づく特例選挙区が存置された場合における地方公共団体の議会の議員の定数配分を定めた条例の規定の違法性の判断基準  3 岡山県議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すベき議員の数に関する条例(昭和57年岡山県条例第21号,昭和61年同県条例第23号による改正後)において,公職選挙法271条2項に基づく特例選挙区2区が存置された結果,議員1人当たりの人口最大区と最小区である右特例選挙区(2区のうちの1区)との間には,3・445対1の較差が生じているが,右2区は,過疎地域で,かつ,比較的広い面積を有し,地域特有の資源を活用した発展が予想される地域であって,これを特例選挙区として存置したことには,過疎地域独自の積極的な振興を図るという相応の理由及び隣接区との合区の困難性が認められ,また,右特例選挙区を除いた較差は3対1にまでは至っておらず,いわゆる逆転現象もみられないことなどからすると,右較差による選挙区間の投票価値の不平等は,地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素をしん酌してもなお,一般的に合理性を有するものとは考えられない程度にまで達しておらず,憲法14条1項,公職選挙法15条7項に違反しないとした事例

裁判要旨

2 地方公共団体の議会の議員の定数配分を定めた条例の規定が憲法14条1項,公職選挙法15条7項に違反するか否かは,仮に公職選挙法271条2項に基づく特例選挙区の存置を認める理由があるとしても,右存置を認めることによって生ずる議員1人当たりの人口最大較差が3倍以上にも及ぶ場合は,右較差の程度と特例選挙区の存置を認める理由及び合区の困難性の程度等との対比において,右較差によって生ずる選挙区間の投票価値の不平等が県議会において地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素をしん酌してもなお,一般的に合理性を有するものとは考えられない程度にまで達していないかどうかという観点からされるベきである。

全文

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