裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和28(あ)4329
- 事件名
薬事法違反、覚せい剤取締法違反
- 裁判年月日
昭和31年6月13日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第10巻6号830頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所 岡山支部
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和28年8月6日
- 判示事項
一 覚せい剤の譲渡、譲受の制限および禁止に関する薬事法および覚せい剤取締法の規定の合憲性 二 フエニルメチルアミノプロパンは薬事法第四一条七号にいう「その他の医薬品」に該当するか
- 裁判要旨
一 覚せい剤の譲渡、譲受の制限および禁止に関する薬事法第四一条第七号、第四四条第七号、第五六条、覚せい剤取締法第一七条第三項、第四一条第一項第四号は、憲法第一三条に違反しない。 (裁判官栗山茂の少数意見) 被告人が当審で初めて適用罰条の違憲性を主張しても、それは刑訴四〇五条にいう、高等裁判所がした判決に対し憲法の解釈に誤があることを主張する場合には当らないこと明であるから、かかる上告趣意は不適法として排斥せらるべきものである。刑訴四〇五条に「憲法の違反があること」とは審判の手続が憲法に反する場合であつて本件の場合でないことはもとよりである。 わが司法裁判所は、立法行為が適憲であるか否かを審査し、それを無効とする権限を本質的にはもつていないのであつて、たゞ司法裁判所本来の作用として、具体的争訟事件を処理するに当つて、当事者から違憲の主張があるのでやむを得ず違憲の審査をするのである。 (裁判官斎藤悠輔の少数意見) 所論は、原審の審判手続が憲法に反し刑訴四〇五条一号前段に規定する「憲法の違反があること」を理由とするものでないことは栗山裁判官の意見と同一である。薬事法は、薬事を規正し、これが適正を図ることを目的とし、覚せい剤取締法は、覚せい剤の濫用による保険衛生上の危害を防止するための取締を行うことを目的とし、両法律とも何等所論のように善良な利用者をして覚せい剤を利用することをできなくするものでないことは明白である。 二 フエニルメチルアミノプロパンは、アミノフエニルスルフアミド若くはその誘導体、ペニシリン、ストレプトマイシン又はこれらの製剤のいずれでもなく、薬事法四一条七号にいわゆる「その他の医薬品」に該当するものとして昭和二五年二月一七日厚生省告示四五号をもつて指定せられたものであるから、所論判示のフエニルメチルアミノプロパンが同条同号に該当する。
- 参照法条
薬事法41条7号,薬事法44条7号,薬事法56条,昭和25年2月17日厚生省告示45号,覚せい剤取締法2条,覚せい剤取締法17条3項,覚せい剤取締法41条1項4号,憲法13条,裁判所法11条
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