昭和31(あ)3605

有印公文書偽造、同行使、私文書変造、同行使、詐欺贈賄収賄

昭和35年4月19日

最高裁判所第三小法廷

決定

棄却

刑集 第14巻6号685頁

東京高等裁判所

昭和31年7月18日

一　訴因変更手続を要しない事例。―起訴状記載の事実と一審判決認定事実の間における場所の差異― 二　第一審に提出した弁論要旨と題する書面を援用する旨の控訴趣意書の適否 三　収賄罪における税務署法人税課係員の担当地域と職務権限

一　収賄罪における賄賂収受の場所の差異につき、起訴状の記載に「東京都北区ａｂ丁目ｃ番地被告人自宅」とあるのを第一審判決で「東京都北区ｄｅ丁目ｂ、ｆ番地の当時の被告人自宅」と認定するには、訴因変更の手続を要しない。 二　控訴趣意書自体に控訴理由を明示しないで、第一審に提出した弁論要旨と題する書面の記載を援用する旨の控訴趣意は許されない。 三　収賄罪において、税務署法人税課第六係係員として法人税の課税標準の調査等に関する事務を分掌するとともに、事実上同係次席として係長の職務を補佐していた者につき、その賄賂の対象となつた行為が、同係の管轄区域内ではあるが同人の担当地域外であつたというだけで、直ちにその職務権限に属しないものとはいえない。

刑訴法312条，刑訴法376条，刑法197条，刑訴規則240条

全文