裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和40(あ)1541
- 事件名
公職選挙法違反
- 裁判年月日
昭和41年7月13日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第20巻6号623頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所 松江支部
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和40年6月28日
- 判示事項
一 公職選挙法第二一一条第一項第一号の供与等を共謀した者の間における金銭又は物品の授受と同条項第五号の交付又は受交付の罪の成否 二 右共謀にかかる供与等が行なわれた場合における供与等の罪と交付又は受交付の罪との関係 三 前記共謀にかかる供与等が共謀者間で授受された金銭又は物品の一部について行なわれた場合における供与等の罪と交付又は受交付の罪との関係 四 二審が一審判決を破棄するにさいし二審で追加された予備的訴因に基づいて自判することと審級の利益 五 甲が乙に三万円を交付したとする訴因と甲乙共謀のうえ右三万円中二万七、〇〇〇円について丙らに供与等をしたとする訴因との間の公訴事実の同一性。
- 裁判要旨
一 公職選挙法第二二一条第一項第一号の供与等いわゆる買収を目的とする金銭又は物品を交付し、又はその交付を受ける行為は、右買収を共謀した者相互の間で行なわれた場合でも、同条項第五号の交付又は受交付の罪を構成するのに妨げない 二 前項の場合において、共謀にかかる供与等が行なわれたときは、交付又は受交付の罪は、後の供与等の罪に吸収される 三 前二項の場合において、共謀者間で授受された金銭又は物品の一部について供与等が行なわれ、その残部が受交付者の手裡に保留されたときは、前者についての供与等の罪と後者についての交付又は受交付の罪との併合罪として処断すべきである 四 第一審以来の審理において、金員の授受およびこれに関連する一連の事実関係が十分明らかにされ、被告人の防禦にも支障はなかつたものと認められる本件の場合、原審が、事件を第一審に差し戻すことなく、右予備的訴因に基づいて自ら判決をした措置は、被告人Aに対して審級の利益をはく奪したものとはいえない 五 被告人Aが被告人Bに対して現金三万円を交付したとする本位的訴因と、被告人Aが被告人Bとの共謀のうえ、右現金三万円中合計二万七、〇〇〇円をCらに対してそれぞれ供与もしくはその申込をし、又は交付したとする予備的訴因との間には、公訴事実の同一性が認められるから、右予備的訴因の追加を許可した原審の措置に違法の点はない
- 参照法条
公職選挙法221条1項1号,公職選挙法221条1項5号,刑法60条,刑法45条,刑訴法400条,刑訴法312条