裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)1663
- 事件名
都会議員選挙罰則違反
- 裁判年月日
昭和25年6月28日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第4巻6号1112頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年8月23日
- 判示事項
一 自己の當選を得る目的で供與した金錢と刑法第一九條による没收 二 第二審で被告人から訊問請求のあつた聽取書の供述者が第一審公判廷で共に審理を受けた相被告人である場合と刑訴應究措置法第一二條第一項
- 裁判要旨
一 衆議院議員選舉法第一一四條は、當選を得る目的をもつて、選舉人又は選舉運動者に對し金錢その他の財産上の利益が供與せられた場合について「收受シ……タル利益ハ之ヲ没收ス」と規定しているのであつて、同條は「利益收受者」に對する刑として没收刑を規定しているのである。しかるに、原判決が没收を言渡した押收の金八〇〇圓は被告人が判示第一の(三)の事實によりAに供與した一〇〇〇圓の内同人が消費せずに持つていたものであることは記録上明かであつて、被告人は右金員についての「利益收受者」ではなくまた「利益收受者」Aは本件の被告人ではないから、本件において、同條によつて、右金員を没收する途のないことは當然である。しかも右金員は、判示第一の(三)のごとく同法第一一二條所定の利益供與罪を組成する物であることは疑を容れないところであるから、右金員が被告人及びその共犯者以外の者に屬しない以上(しかして、このことはまた記録上明らかである)刑法第一九條に從つてこれを没收することができるものといわなければならない。從つて原判決が衆議院議員選舉法第一一四條に依らず、刑法第一九條に從つて右金員を没收したことは正當であつて、論旨は理由がない。 二 所論聽取書については、既に第一審公判において被告人に對しその供述者たるBを訊問する機會は適法に與えられたものといわなければならない。けだし、被告人は公判期日において裁判長に告げ共同被告人を直接訊問する權利を有することは、刑訴應急措置法第一一條第二項に規定するところであるのみならず、第一審公判においては、右書類の證據調に際し、特に被告人に對し、右書類の供述者を訊問できることを判事から告げられているからである。しかして、既に第一審において、供述者訊問の機會を與えられている以上、重ねて第二審においてその機會を與えることは、同法第一二條の要求するところでないと解すべきであるから、原判決が右聽取書を證據としたことをもつて、所論のごとき違法があるものとはいえない。
- 参照法条
衆議院議員選舉法114條,刑法19條,刑訴應急措置法12條