裁判例結果詳細

事件番号

昭和24新(れ)562

事件名

窃盗

裁判年月日

昭和25年7月13日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第4巻8号1343頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和24年11月10日

判示事項

一 公判調書に公判裁判所を構成した判事補が判事の職務を行う職權を有することの記載の要否甲判事補が裁判所から判事の職務を行わしめる者に指定された者であることと裁判所に顕著な事實 二 公判調書に「公判を公開したこと又は公開を禁じたこと及びその理由の記載のない場合と公判公開の有無

裁判要旨

一 記録によれば、(本件昭和二四年三月二九日起訴)第一審の審理及び裁判は判事補が一人でこれをしたものであること竝びに判事補の職權について裁判所法及び訴訟法上制限のあることは所論のとおりである。しかし、同判事補は昭和二三年法律第一四六號判事補の職權の特例等に關する法律第一條の規定により同年一〇月五日當裁判所から判事の職務を行わしめる者に指名された判事補であることは當裁判所に顕著な事實である、そして刑訴法第四八條、刑訴規則第四四條によれば公判調書には裁判官の官氏名を記載すれば足りるものであるから、公判調書上同判事補が判事の職務を行う職權を有することを特に記載する必要はなくその他記録上これを明らかならしめなければならないものではない。 二 第一審第三回公判調書に「公開をしたこと又は公開を禁じたこと及びその理由」が記載されていないことは所論のとおりである。それ故第一審の公判調書作成手續は記載事項を遺脱したもので明らかに刑訴第四八條第二項刑訴規則第四四條第四號の規定に違反しているものといわなければならない。しかし、刑訴第五二條は「公判期日における訴訟手續で公判調書に記載されたものは公判調書のみによつてこれを證明することができる。」と規定しているのであるから、逆に右公判調書に「公開をしたこと」が記載されてないからといつて、直ちに所論のごとくその公判手續は公開されなかつたと速斷するを得ない。本件では公開したか公開をしなかつたかは何等公判調書に記載されていないのであるから、公判調書以外の資料でこれを證明することができるわけである。そして、刑訴法第三七七條の規定は刑訴法第四一四條により上告審にも準用される。しかるに、前記公判調書には被告人その他訴訟關係人において異議を述べる等公開をしなかつたことを推認すべき記載がなく、原控訴趣意書にも公開をしなかつた旨の主張及び立證がなく、また、本件上告趣意書にもその點につき何等の證明保證書をも添付してないから、本論旨は、その前提において不適法として採用し難い。

参照法条

刑訴法48條2項,刑訴法317條,刑訴法52條,刑訴法377條3號,刑訴規則44條2號,刑訴規則44條4號

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