裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和25(あ)104
- 事件名
住居侵入、窃盗
- 裁判年月日
昭和25年6月8日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第4巻6号972頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年11月7日
- 判示事項
審判の請求を受けない事件について判決した違法がある場合と刑訴法第四〇五條同第四一一條
- 裁判要旨
原判決が住居侵入と窃盜の事實を認定し、それぞれ相當法條を適用した上索連犯として重き窃盜の刑を以て處斷したことは所論のとおりである。そして本件起訴状には公訴事實中に「屋内に侵入し」と記載されているが罪名は單に窃盜と記載され罰條として刑法第二三五條のみを示しているに過ぎない。しかも第一審公判調書を見るに右住居侵入の訴因について裁判官の釋明もなく檢察官において罰條を示して訴因を追加した形跡もなく第一審判決もその點について何等の法律適用を示していない。されば、住居侵入の點は訴因として起訴されなかつたものと見るのが相當である。しかるに原判決は第一審判決が前科のある事實を判決の理由に示さなかつた點を職權を以て理由にくいちがいあるものとして(判決に理由を附せずの誤りと認める昭和三年大審院刑事判例集三三頁參照)破棄自判しながら訴因の追加もないのに住居侵入の犯罪事實を認定しこれに對し刑法第一三〇條を適用したのは、結局審判の請求を受けない事件について判決をした違法があるものといわなければならない。しかし、原判決は住居侵入と窃盜の牽連一罪の刑を以て處斷したものであるから、右違法は未だ原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認め難い、そして本論旨は刑訴法第四〇五條に定める上告理由に當らないし、また、右のごとく同第四一一條を適用すべきものとも認められないから、採ることができない。
- 参照法条
刑訴法378條3號,刑訴法405條,刑訴法411條1號
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