裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和25(あ)1192
- 事件名
業務上横領
- 裁判年月日
昭和26年5月18日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻6号1175頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年4月17日
- 判示事項
一 刑訴法第三九二条第二項と控訴審の職権調査義務 二 量刑の当否を判断する一資料として被告人の公務員としての地位を斟酌することと憲法第一四条
- 裁判要旨
一 刑訴第三九二条第二項は同条所定の事由に関し、控訴審に職権調査の義務を課したものでないことは当裁判所の判例とするところである。(昭和二五年(み)第五号、同年一一月一六日第一小法廷決定)。 二 原判決には論旨の摘録するような記載があるけれども、原判決を熟読吟味すると、その趣旨とするところは、被告人の年令、経歴、公務員としての独立に伴う社会的、道義的責任は弱年の小吏に比して遥かに重いものであり、当時の被告人の家庭的、経済的事情や犯情を併せ考慮すると、控訴趣意において主張されたような被告人にとつて有利な事情を斟酌しても、その情状はなお決して軽いものではないとことを示したものと解するのが相当であり、所論のように公務員中比較的高い地位を有する者と小吏とを抽象的に区別して、仮に被告人が小吏であつたとしたならば刑の執行猶予を言い渡すべきであるが、高い地位を有する者の犯行なるが故に、他に如何なる有利な事情があろうとも執行猶予を与うべきでないとの趣旨を判示したものと解すべきではない。即ち論旨はその前提において原判決の趣旨を誤解したものであり、犯情によつて、犯人の処遇を異にしても、何ら憲法第一四条に違反するものでないと解すべきことは当裁判所の判例の趣旨とするところである。
- 参照法条
刑訴法392条2項,憲法14条
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