裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和25(あ)2567
- 事件名
昭和二二年勅令第一号違反
- 裁判年月日
昭和26年8月1日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻9号1715頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所 岡山支部
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年9月18日
- 判示事項
一、懲役六月執行猶予三年の言渡を禁錮三月に改めることと刑の不利益変更 二、理由のくいちがいが著しく正義に反することになる一事例 三、検察官並びに被告人双方から量刑不当を理由をする控訴を申立てた場合に検察官の控訴につき主文において棄却の言渡を為すことの可否
- 裁判要旨
一 そこで、第一審の言渡した懲役六月、執行猶予三年間の刑と原審の言渡した禁錮三月の刑とはその何れが重いかの問題を生ずる。実質的には執行猶予のもつ法律的社会的価値判断は実際において高く評価されており又さるべきものである。かくて、本件において第一審の懲役六月が第二審において禁錮三月に変更されているにかかわらず、前者には執行猶予がつけられていたが後者にはこれがつけられていないのであるから、この具体的な両者の刑の比較の総体的考察において、原審の刑は重くなつていると言わなければならぬ。そうなると、原判決は理由においては、第一審判決は重すぎるから軽くすべきだと言いながら、その結論である主文においては却つてより重き刑を盛つたことになり理由と主文に食違いが存在する。この違法は、判決に影響を及ぼすことが明らかであり、かつ原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる場合に該当する。 (少数意見要旨)裁判官斎藤悠輔 二 しかし、かように第一審の言渡した単一刑の量定が不当であることを理由として(刑訴法第三八一条参照)の検察官並びに被告人の双方から控訴をした場合に(事実誤認を理由とする場合も同一)原控訴裁判所が第一審判決の刑を重きに失するものと認めるのは結局第一審判決の刑の量定が不当であると判断するものであつて、反対の根拠に立つて量刑軽きに過ぎるが故に刑の量定が不当であると主張する検察官の控訴も同時に理由あるに帰するものであるといわなければならない。従つて、控訴裁判所は判決の理由において説明するは格別原判決のように主文において検察官の控訴を棄却する言渡を為すべきものではない。
- 参照法条
刑訴法381条,刑訴法396条