裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和25(あ)893
- 事件名
臨時物資需給調整法違反
- 裁判年月日
昭和26年10月12日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻11号2214頁
- 原審裁判所名
札幌高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年2月27日
- 判示事項
一 重要物資輸送証明規則及び指定物資輸送証明規則と限時法 二 指定物資輸送証明規則の改正により同規則第一条にいわゆる「指定物資」からいか油を除外したことと刑訴法第四一一条第五号にいわゆる「刑ノ廃止」 三 いか油を油糧需給調整規則第三条に違反して譲渡した行為と、これを重要物資輸送証明規則による出荷証明書なくして輸送を委託した行為との関係
- 裁判要旨
一 尤もその後、本件物資たる「いか油」は原判決宣告後たる昭和二五年四月一日総理府令、法務府令、外務省令、大蔵省令、文部省令、厚生省令、農林省令、通商産業省令、運輸省令、郵政省令、電気通信省令、労働省令、建設省令、経済安定本部令第六号により、新令(指定物資輸送証明規則)一条にいわゆる「指定物資」から除外され、従つて新令二条一項の適用を受けないことになつたので、ここに刑の廃止があつた如く見える。しかし、この新令自体を廃止した昭和二六年三月三一日前同府令省令本部令第一号も、その附則二項において「この命令施行前にした行為に対する罰則の適用についてはこの命令施行後も、なお従前の例による」との規定を設けている。して見ると、旧令も新令もいわゆる限時法的性格を有するものと解するを相当とするから、昭和二五年四月一日の前記命令が本件物資たる「いか油」を新令一条にいわゆる「指定物資」から除外した際に、「罰則の適用については、なお従前の例による」と云うような附則を設けなかつたからといつて、立法者の意思がこの場合に限り「刑ノ廃止」の効果を生ぜしめようとするにあつたとは到底考えられない、(なお所論油糧需給調整規則の改廃についても同様のことがいえるばかりでなく、「いか油」を右規則の適用から除いた所論農林省令第二三号の附則二項は「この省令施行前にした行為に対する罰則の適用については、この省令施行後もなお従前の例による」と規定している)。以上の次第であるから本件は刑訴法四一一条五号にいわゆる判決後「刑ノ廃止」があつた場合にはあたらないものといわなければならない。 二 所論確定判決のあつた事件は、被告人がその生産にかかる「いか油」を油糧需給調整規則三条に違反してA、Bに自宅において譲渡した事実について、臨時物資需給調整法一条、四条に該当するものとして起訴され、右事実について有罪の判決を言い渡されて確定したものである。ところが、本件は被告人が右「いか油」を前記A、B方まで輸送するため、重要物資輸送証明規則三条に違反して法定の出荷証明書をなくして、その輸送方をC株式会社に委託した事実について、右は臨時物資需給調整法一条、四条に該当するものとして起訴された案件である。従つて、右両者は別個の犯罪を構成するものであるばかりでなく、その基礎たる事実関係においても同一性を認め難く、科刑上一罪として取り扱われる場合にも該当しない。
- 参照法条
臨時物資需給調整法1条,臨時物資需給調整法4条,重要物資輸送証明規則(昭和22年9月20日総理庁令、外務、内務、大蔵、司法、文部厚生、農林、商工、運輸、逓信、労働省令1号)1条,重要物資輸送証明規則(昭和22年9月20日総理庁令、外務、内務、大蔵、司法、文部厚生、農林、商工、運輸、逓信、労働省令1号)3条1項,重要物資輸送証明規則附則2項,重要物資輸送証明規則附則3項,指定物資輸送証明規則(昭和24年6月20日総理庁令外務、大蔵、法務庁令、文部、厚生、農林、通商産業、運輸、逓信労働、建設省令1号)1条,指定物資輸送証明規則(昭和24年6月20日総理庁令外務、大蔵、法務庁令、文部、厚生、農林、通商産業、運輸、逓信労働、建設省令1号)2条1項,刑訴法411条5号,刑訴法337条1号,油糧需給調整規則(昭和22年12月29日農林省令98号)1条,油糧需給調整規則(昭和22年12月29日農林省令98号)3条1項,刑法45条
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