裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和25(れ)1011
- 事件名
強盗傷人、詐欺未遂
- 裁判年月日
昭和26年1月23日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻1号73頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年2月13日
- 判示事項
一 審判の請求を受けない事件につき判決した事 二 審判の請求を受けない事件につき判した違法と破棄理由の共通
- 裁判要旨
一 本件公訴提起は公判請求書に基いて公判請求がなされているのであるが、右公判請求書の記載は論旨摘録の通りであつて、その記載においては被告人等が欺罔手段を用いたのは被害者を誘い出す為めであり、財物の交付を受ける手段としてこれを用いたことは少しも記載されていない。換言すれば財物を騙取せんとした行為は少しも書いてないのである。それ故詐欺については審判の請求が無かつたものというの外なく、従つて原審は審判の請求を受けない事件について判決した違法あるものといわざるを得ない。本件の場合の様に起訴状において強取の事実が起訴され裁判所で調べた結果正に起訴状記載の強取の事実が認められた場合、裁判所はその事実に強盗の規定を適用して所罰した上、その事実の外に更に起訴状に書いてない詐欺の事実について審理し、その事実を認定してこれに詐欺の規定を適用し二罪として併合罪の加重をするのは不告不理の原則に反するものといわなければならない。本件公判請求書を見ると罪名としては強盗傷人とあり、公訴事実としては「被告人等は共謀の上水飴の取引に藉口してA等を誘出し金品を強奪せんことを企て、被告人Bが昭和二二年一〇月八日頃…A方に至り同人に対し千葉縣庁の職員に配給した水飴二百三十本を横流しすべきにより、買受けられたき旨申欺き同人がその共同買受人にして右水飴代金の内金四十六万円を携帯したる旨Cを被告人D、Eが附近に待機せる千代田区a…農林省庁舎に同道して中(略)被告人Bな所携の鉄棒を以て右Fの頭部を乱打し…云々)と記載し強盗傷害の事実を記載して居る。 二 審判の請求を受けない詐欺事件について判決した違法があるという理由で原判決を破棄する場合は、右詐欺の共犯と認められた共同上告人に対しても破棄の理由は共通であるものとして旧刑訴法第四五一条を適用すべきである。
- 参照法条
旧刑訴法410条18号,旧刑訴法291条,旧刑訴法451条
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