裁判例結果詳細

事件番号

昭和25(れ)1335

事件名

業務上横領、私文書偽造、同行使、詐欺

裁判年月日

昭和26年5月11日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第5巻6号1102頁

原審裁判所名

仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和25年6月30日

判示事項

一 死亡者名義の郵便貯金払戻証書の偽造と私文書偽造罪の成否 二 被告人の供述以外に証拠が存しない場合と事実の認定

裁判要旨

一 原判決の確定した判示第一の事実は被告人はA外十名の預金者から貯金の払戻その他の為同人等名義の貯金通帳を預つていたのでこれを使用して同人等名義の郵便貯金払戻証書を偽造行使したというのであつて、右A名義の郵便貯金払戻証書は被告人が生存中のAから預つた郵便貯金通帳と共にこれを行使する目的でこの通帳に基いて作成したものであるからそれはAの生存中の作成にかかるものの如く作為したものとみるのが相当であり又一般人をして左様に誤信させるおそれの十分にあるものであるからかかる場合には、たとえその作成当時Aが既に死亡していたとしても被告人の行為は文書偽造罪を構成するものと解すべきである。 二 原審公判調書中被告人の供述としてAは被告人が同人名義の貯金払戻受領証を作成した時から一年位前に戦死しているものであると述べていること所論のとおりである。しかし右事実については被告人の右供述を除いては他に何等の証拠のない本件においてはAが本件犯行当時確実に死亡していたと認定することは困難である。

参照法条

刑法159条,旧刑訴法336条

全文

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