裁判例結果詳細

事件番号

昭和25(れ)503

事件名

強盗、強盗未遂、詐欺、恐喝、強盗傷人

裁判年月日

昭和25年7月11日

法廷名

最高裁判所第三小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第4巻7号1290頁

原審裁判所名

大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和24年10月26日

判示事項

一 公判廷及び公判調書等における被告事件名の告知及び記載の意義 二 病状にあつた被告人の公判廷の自由とその任意性

裁判要旨

一 公判調書や判決書の冒頭に被告事件名を記載したり、裁判長が公判審理を開始するに當つて被告事件名を告知することは、審判される事件を簡明に表示するために行われている實例であるが、別段に訴訟法上の要請に基くものではなく、またこれによつて審判の對象は判決書においてはその理由中に明記され公判廷においては起訴状に記載された公訴事實と檢察官のする被告事件の陳述とによつて決定されるのである。それゆえ、被告事件名と審判の對象となつた事件とは必ずしも常に符合しなければならないものではなく、從つてこの點に過誤があつたとしても審判手續に違法があつたものと即斷することはできない。 二 記録によると、論旨採用のような診斷書があるし、原審第一回、第三回および第四回公判調書には被告人が病氣のため出頭しなかつた旨の記載があるから、常時被告人が病状にあつたことはこれを推認することができる。しかし、被告人は原審第六回公判期日には辯護人列席の上審判を受けたのであつて、同期日には被告人ならびに辯護人から公判審理に堪えない旨の申出もなく審理が行われているところから見ると、當時被告人が病状にあつたというだけのことで當日の公判廷における自白を目して強要された不利益な供述であるとか強制、拷問、脅迫による自白であるとか即斷することはできないし、またかかる事實が認められる證據は記録上少しも存しない。それゆえ、憲法第三八條違反の問題を生ずる余地がない。

参照法条

舊刑訴法134條,舊刑訴法345條,刑訴應急措置法10條1項2項,憲法38條1項2項

全文

全文

ページ上部に戻る