裁判例結果詳細

事件番号

昭和25(れ)573

事件名

窃盗、賍物故買、有価証券偽造、偽造有価証券行使

裁判年月日

昭和25年9月5日

法廷名

最高裁判所第三小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第4巻9号1620頁

原審裁判所名

広島高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和24年11月25日

判示事項

一 辯護人が上告趣意書記載の主張を撤回した場合にこれに對し判斷を與えることの要否 二 權限なく列車急行券を作成した行爲と有價證券偽造罪の成立 三 「盜賍たることが當然判る筈である」旨の供述は知情の事實を認定する證據となり得るか

裁判要旨

一 辯護人において上告趣意書記載の主張を撤回した場合には、これに對して判斷を與えることを要しない。 二 列車急行券の記載事項乃至様式は、昭和一七年二月二五日運輸省告示第二六號「旅客及荷物運送規則」第一二〇條および同日附運輸省達第八九號「旅客及荷物運送取扱細則」第一一三條に定められていて、右急行券を發賣する際には鉄道係員において右取扱細則第一一三條に從い發賣日附を押印し、乗車日附、列車番號、乗車驛名及び其の發時分を表示した上旅客に之を交付すべく、乗車月日、乗車列車、發賣日附又は乗車驛が不明となつた場合には前示規則第一二五條により急行券は無効となるのであるから、所論のような粁數や料金のみが記載されているにすぎないものは、未だ急行券の用紙であつて、有効な急行券ではない。それゆえ、被告人等が粁數および料金のみ表示された判示急行券用紙に何ら權限なく、所要の事項を記入し、所定の様式にかなつた急行券を作成した以上、有價證券偽造にあたることは明らかである。 三 賍物故買事件において、窃盜犯人の「自分は盜んだということは云わなかつたが、買受人には盜んだものであることが當然判る筈である」旨の供述は、それが同人の單なる想像ではなく、實驗した事實に因り推測した事項であると認められる以上、いわゆる知情の事實を認定する證據とすることができる。

参照法条

舊刑訴法434條1項,舊刑訴法206條,舊刑訴法360條1項,舊刑訴法336條,昭和17年2月25日運輸省告示26號「旅客及荷物運送規則」120條,刑法162條1項

全文

全文

ページ上部に戻る