裁判例結果詳細

事件番号

昭和26(あ)1275

事件名

詐欺、恐喝、傷害、住居侵入、強盗傷人等

裁判年月日

昭和26年10月5日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第5巻11号2156頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和26年1月17日

判示事項

一 訴因変更と裁判所の黙示の許可 二 被告人の在延する公判廷における口頭の訴因変更申立と被告人に対するその通知の要否 三 さきに起訴された事件の弁護人選任届の追起訴事件に対する効力

裁判要旨

一 第一審第九回公判において検察官が被告人に対する昭和二四年八月一三日附及び同二五年一月一八日附の各起訴条記載の公訴事実について訂正の申立をしていること、その中には訴因の変更と認めるのを相当とする部分が存すること、これに対し裁判所が取り立てて訴因変更の許可決定を為さず、又その変更を被告人に更めて通知していないことはすべて所論の通りである。しかし、検察官の右申立は被告人出頭の公判廷において口頭を以つて為されたものであり、又、同公判調書によると、被告人は右申立に対し何らの異議も述べず、裁判所も亦これを却下することなく、直ちに次ぎの訴訟手続に進んでいることが窺われる。かかる場合においては、裁判所が特に訴因変更の許可決定をしていなくても、その許可が為されたものと認めるのが相当であり、又、その訴因変更を更めて被告人に通知することも必要ではないと解すべきである。したがつて、第一審判決及びこれを是認した原判決には所論のような違法はない。 二 第一審で、さきに起訴された賍物牙保被告事件及び詐欺恐喝住居侵入強盗傷人傷害被告事件に併合審理された住居侵入強盗傷人被告事件及び賍物牙保同収受同故買被告事件について弁護届が存しないことは所論のとおりである。しかし、被告人が或る事件について為した弁護人選任の効力は、被告人において特段の限定を為さない以上、同一の機会に追起訴され且つ一つの事件として併合審理された事件の全部に及ぶものと解するのが相当であつて(昭和二六年(あ)第六五四号、同年六月二八日第一小法廷判決参照)、本件でも、先きに起訴せられた前記両被告事件については、被告人と連署した弁護人鈴木喜太郎、同藤原万蔵及び権逸の弁護届が提出されており、被告人において特段の限定をしたことも認められないから、同事件の弁護人たる右三名はすべて、後に起訴せられこれと併合された所論両事件についても亦被告人の為め有効に弁護を為し得たものといわなければならない。

参照法条

刑訴法312条,刑訴法32条,刑訴規則209条

全文

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