裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和26(あ)1804
- 事件名
強盗傷人、住居侵入
- 裁判年月日
昭和26年10月12日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻11号2229頁
- 原審裁判所名
札幌高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和26年4月20日
- 判示事項
証拠調の請求が却下された検察事務官に対する被告人の供述調書を読聞けてした質問の適法な一事例
- 裁判要旨
第一審第一回公判において、出席の検察官より被告人の検察事務官に対する第一、二回供述調書の証拠調べ請求があつたのに対し、被告人側がこれを証拠とすることに同意せず、その証拠調べについて異議を申立てた結果、裁判所より右証拠調べの請求が却下せられたにもかかわらず、次の第二回公判において検察官が右供述調書の一部を被告人に読聞かしていることは所論の通りである。しかし、第一審第二回公判調書によると、検察官の被告人に対する質問の途中に「A小学校でどの様な話をしたのか」との質問に対し、被告人は「前に検察庁で調べられた時に述べた通りであります」と答えた旨の記載があつて、検察官も、そこで初めて前記供述調書の該当部分を被告人に読聞かせるようになつたこと及び右と同様の方法によるその後の検察官の質問に対しても、被告人は引続き、一々、任意の答弁をしていることが窺われ、かかる質問の方法に対し被告人側から異議を申立てた形跡も認められない。そして右供述調書は、同公判で検察官より再度証拠調べの請求があつたのであるが、同審第三回公判調書によると、被告人側もついにこれを証拠とすることに同意していることが認められる。以上のような訴訟の経過に照らして考えると、右のような質問も、検察官がいきなり被告人に証拠能力のない供述調書を読聞かして、裁判所に予断を与え、又は被告人に誘導尋問を試みたものと解すべきではない。
- 参照法条
刑訴法311条,刑訴法295条,刑訴法326条
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