裁判例結果詳細

事件番号

昭和26(れ)1055

事件名

臨時物資需給調整法違反

裁判年月日

昭和26年10月18日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第5巻11号2274頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和24年10月17日

判示事項

一 昭和二一年一〇月一日商工省令第四一号にいう「繊維製品配給消費統制規則はこれを臨時物資需給調整法に基いて発したものとす」との意議 二 判決書作成の遅延を理由とする上告の適否 三 判決宣言の年月日を記載した判決書の効力

裁判要旨

一 昭和二一年九月三〇日を以て国家総動員法、物資統制令が失効するに当り、同年一〇月一日法律三二号臨時物資需給調整法により、商工大臣は産業の回復及び振興に関し経済安定本部総裁の定める基本的な政策及び計画の実施を確保するために同総裁の定める方策に基いて繊維製品の割当又は配給等に関し必要な命令をなすことを得るに至つたのである。従つて当時商工大臣は右臨時物資需給調整法に基ずいて前示昭和一七年一月二〇日商工省令第四号繊維製品配給消費統制規則と同一内容の規則を制定する権限を有していたこと勿論であるから、同大臣がかかる措置に出ることに替えて既存の右統制規則を引用して昭和二一年一〇月一日商工省令第四一号を以て該規則は臨時物資需給調整法に基ずいて発したものとする旨規定したからとてその立法技術としての巧拙の問題はあるとしても、右規則が臨時物資需給調整法に基ずいて発せられたものとしてその効力を持続することを否むべきいわれは存在しない。 二 原判決は昭和二四年一〇月一七日言渡されたものであり、右判決書末尾にはその作成年月日として同日附の記載があるに拘わらず、その原本が書記課に領収されたのは同二六年三月八日である旨、その欄外に明記せられている。仮りに所論の如く判決書の作成がその言渡後原本領収の頃まで遅延されていたものであるとしても、それは判決成立後の事由に過ぎないものであり、司法行政上の問題となることは格別、原判決の内容そのものの違法とは何等のかかわりもないのであるからこれを上告理由となすことはできない。 三 判決書にはその作成の年月日を記載すべきであり(旧刑訴七一条参照)判決宣告の日を記載すべきでないことは所論のとおりである。しかし、仮りに原審が判決書の作成を前示原本領収当時まで遅延しながらこの日附をさかのぼらせて判決宣告の日を記載したものとしても、それは単に旧刑訴七一条に違反したというだけのことでありこの違法は原判決の内容そのものには何等影響するところはない。しかもかかる事態は前記刑訴の法条を誤解することに起因して生ずることもあり得るのであるから、必ずしもこれを原審の公文書偽造と目することはできない。のみならずたとえ原審が故意にその作成日につき虚偽の記載をなしたとしても、それはその記載部分の無効を来すだけのことであり原判決全部の無効を誘致するものということはできない。

参照法条

繊維製品配給消費統制規則(昭和17年10月20日商工省令4号)2条,臨時物資需給調整法1条,昭和21年10月1日商工省令41号,旧刑訴法66条,旧刑訴法67条,旧刑訴法408条,旧刑訴法409条,旧刑訴法71条

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