裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)1142

事件名

衆議院議員選挙法違反

裁判年月日

昭和23年12月4日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第2巻13号1690頁

原審裁判所名

名古屋高等裁判所 金沢支部

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和23年7月30日

判示事項

一 刑の種類の選擇刑の量定、刑の執行猶豫の言渡と事實審裁判所の自由裁量權 二 辯護人より出廷不能のため期日變更の申請があつたに拘わらず之を許容しなかつた場合と辯護權の不當制限 三 共同被告人の供述と刑訴應急措置法第一〇條第三項にいわゆる「本人の自白」 四 共同被告人の供述による被告人本人の自白の補強 五 被告人が公判廷において聽取書中の供述を取消した場合と採證の自由 六 選舉法違反につき有罪判決を言渡すにあたり選舉權被選舉權を停止しないとの宣言をなすことの當否

裁判要旨

一 科刑の種類の選擇、刑の量定、ならびに刑の執行を猶豫するかどうかは事實審たる裁判所が諸般の情状を考慮した上、自由裁量をもつて決定すべきところである。 二 被告人の辯護人が、原審の指定した第一回公判期日に出廷不可能のため、その期日の變更申請をした場合、原審において諸般の事情を考慮して、之を許容しなかつたとしても、本件は刑事訴訟法第三三四條所定の事件に該當しないのであるから、之を以て所論のごとく、辯護權の行使を不當に制限したものとは言へない。 三 共同被告人の供述と刑訴應急措置法第一〇條第三項にいわゆる「本人の自白」に該らないことは當裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第四〇九號、同年七月二二日第一小法廷判決)。 四 共同被告人の供述といへども、被告人本人の自白と相俟つて犯罪事實の全部を確認するに役立つ限り、刑訴應急措置法第一〇條第三項の「本人の自白」の補強證據となり得ることも當裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一六七號同年七月一九日大法廷判決及び昭和二二年(れ)第一八八號昭和二三年七月七日大法廷判決參照) 五 假りに所論の如く被告人等が公判廷において前記の各聽取書の記載と異る供述をなし、右聽取書における供述を取消したとしても、裁判所は刑事訴訟法応第三四〇條による證據調をした上、諸般の資料に照らし右聽取書の記載の方が眞實に合するとの心證を得たときは、これを證據に採るも差支へなし。 六 裁判所が選舉法違反の事實を認定して、被告人に有罪の判決を言渡すにあたり、選舉權被選舉權を停止しないという宣告をするかしないかは一に事實審裁判所の自由裁量に委されたところである。かりに所論のような事情がありとしても、原審が被告人等に對し選舉權、被選舉權を停止しないとの宣告をしなかつたことをもつて、實驗則に反するものとすることはできない。

参照法条

刑法25條,刑訴應急措置法13條2項,刑訴應急措置法10條3項,刑訴法334條,刑訴法337條,衆議院議員選舉法137條3項

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