裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)1199
- 事件名
有毒飲食物等取締令違反
- 裁判年月日
昭和24年4月23日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻5号610頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年3月16日
- 判示事項
有毒飮食物等取締例違反の故意犯として處罰するに當り故意の内容を明確にしない判決の違法
- 裁判要旨
原判決は被告人A及び同Bは、何れも「判示品物がメタノールであるとのはつきりした認識はなかつたが之を飮用に供すると身体に有害であるかも知れないと思つたにも拘らずいずれも飮用に供する目的で」之を所持し又は販賣した旨説示してゐるのである、右説示では被告人等は判示品物がメタノールであることは認識していなかつたというに歸し有毒飮食物等取締例第一條違反の罪の構成要件である故意のあつた事例の判示を欠くものといわなければならない、たゞ原判決には「判示品物が之を飮用に供すると身体に有害であるかも知れないと思つたにも拘らず」と説示しているので、これを以つて被告人にいわゆる未必の故意あるものと認定した趣旨であるかもしれないが、しかし飲用に供すると身体に有害であるかもしれないと思つたというだけでは直に被告人等が判示品物はメタノールであるかもしれないと思つたものとはいえないから本條違反の罪につきいわゆる未必の故意があつたものということはできない。又原判決が事實摘示をその證據説示の部と相待つてみても原判決が被告人等に判示品物がメタノールであることを認識し又はこれを未必的に認識しながら敢えて、判示行爲を爲したものと判示したものと認めることはできない。してみれば原判決が被告人等の所爲に對し前記取締令第一條に故意に違反したものとして同令第四條第一項(原判決に同令第四條第一項前段とあるが改正前の同令第四條第一項には前段後段の區別はない)を適用したのは罪とならない事實に罰條を適用した違法があるか、又は右罰條の前提をなす、被告人等に故意があつたか否かの事實を確定しない審理不盡の違法あるものであつて論旨は理由がある。
- 参照法条
有毒飮食物等取締令1條,有毒飮食物等取締令4條1項
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