裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)160

事件名

賍物故買

裁判年月日

昭和23年5月6日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第2巻5号473頁

原審裁判所名

大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和22年12月6日

判示事項

一 窃盗共犯者の一人が爲した賍物の單獨處分と實驗則 二 刑法第二五七條第一項の適用

裁判要旨

一 窃盗犯人は窃盗行爲により賍物の上に法律上正當にこれを處分し得る權限を取得する筈がないのであるから、その財物を他に賣却するに當つても、それは唯單に賣買の形式をとるだけのこのであつて、少くとも犯人自身の立場においては、むしろ事實上の處分たるにすぎない。從つて共犯者中の一人が、賍物を賣却する場合においても、論旨の主張するように、他の共犯者から處分の承諾を得るとか、或はその委任を受けるとかする必要は、法律上毫末も存在しないのであり、又實際において單獨專斷でこれが處分をなすことも往々存在する事例なのである。されば、原審が前説示の如く判示證據にもとづいて、A單獨の處分であることを認定したからというて、この事實認定を目して法理に背き實驗則に反するものであると非難することはできない。 二 思うに、刑法第二五七條第一項の法意は、同條項所定の關係あるものの間においては、賍物に關する犯罪につき、それらのものに對して刑を科するのは情誼上苛酷に失するとしたに過ぎないのである。從つて窃盗本犯の共犯者中に、たとえ賍物罪の犯人と同條項所定の關係に立つものがいたとしても、そのものが賍物罪に關與していない場合にあつては、同條項を適用して刑を免除すべきものではない。この事は同條第二項において、親族關係のない賍物罪の共犯者に對して、前項の例を用うべきでない旨規定していることに徴しても明白なのである。

参照法条

刑法257條

全文

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