裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)1699
- 事件名
傷害、公務執行妨害
- 裁判年月日
昭和24年4月26日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻5号637頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年9月3日
- 判示事項
一 列車発着の一七、八分前待機中の小荷物係駅手に対する暴行と公務執行妨害罪の成否 二 驛員の少い停車場における小荷物係驛手の職務内容
- 裁判要旨
一 小荷物の受付、計量、料金収納、プラツトホームへの運搬、列車への積卸し等小荷物に関するすべての業務を担当する小荷物駅手は、列車発着の直前においては待機の必要時に顕著であるから、列車発着の一七、八分前待機中の同駅手に対し暴行を加えたときは、公務執行妨害罪が成立する。 二 論旨は原判決が被害者の職名又は係を示しただけでその職務行爲の内容を具體的に判示しなかつたことを非難している、しかし原判決にはA驛の小荷物係驛手と判示してあるので、それが停車場における小荷物に關する業務であることが明らかである、證據として引用されている原審公判における被害者の供述(記録九九丁表)によれば右の驛における被害者出勤日の小荷物係は被害者B、唯一人であつたそのように驛員の少い停車場に於ては小荷物を扱う業務は細分して分擔することができないから小荷物の受付、計量、料金収納、プラツトホームへの運搬、列車への積卸し等小荷物に關する凡ての業務を被害者が唯一人で擔當していたものであることが推知される。これ等の業務を遂行するため、殊に何時來るかもしれない、小荷物託送者に應接して小荷物を授受するためには係員ば絶へず職場に待機していなければならない、原審公判廷に於て裁判長が「小荷物係は汽車の發着時は席にいて仕事をしなくてはならないのだね」と問うたのに対して被害者は「左様です」と答えているが、これは小荷物係の最も主要な業務を示すだけで業務がそれに限られるという譯のものではないことは、上の説明で明らかであろう、かように被害者の職務の内容は、原判示から自から推知せられるからこれを以て所論のように理由不備の違法あるものとは言い得ない。
- 参照法条
刑法95条1項,刑法95條
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