裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)1951

事件名

昭和二二年政令第三二八号違反、議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律違反

裁判年月日

昭和24年6月1日

法廷名

最高裁判所大法廷

裁判種別

判決

結果

その他

判例集等巻・号・頁

刑集 第3巻7号901頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和23年11月29日

判示事項

一 昭和二二年政令第三二八號、及び昭和二一年勅令第一〇一號(政黨、協會其ノ他團體ノ結成ノ禁止等ニ關スル件)第五條第一項の届出義務の意義 二 個人に對する献金であるとする被告人の主觀的認識に對し寄附者側の意團が黨に對するものである場合の政令違反の成否 三 議院における證人の宣誓及び證言に關する法律第八條の告發を缺く公訴の適否

裁判要旨

一 昭和二二年政令第三二八號には、「國會議員たる構成員を有する政黨の幹事長その他これに準ずる主幹者は、昭和二二年中における當該政黨に對する有力な財政的援助者(中略)の住所及び氏名並びにその援助の金額を、昭和二三年一月一五日までに、當該政黨の主たる事務所の所在地の都道府縣知事に届け出なければならない。前項の規定による届け出をせず、又は虚僞の届け出をした者は、これを十年以下の懲役亦は禁錮に處する云々」と規定して、昭和二一年勅令第一〇一號(政黨、協會其ノ他團體ノ結成ノ禁止等ニ關スル件)第五條第一項の規定に該當する團體中特に國會議員たる構成員を有する政黨に限り昭和二二年中における當該政黨に對する同條第二項第五號の事項につき特別の届け出義務あることを定めている。從つて、同政令の届出義務は財政的援助が當該政黨に對する場合、換言すれば、その財政的援助の使用若しくは収益又は處分等を爲す權利が當該政黨に歸屬する場合に限り存在するものであつて、その構成員個人のみに歸屬するに過ぎない場合を包含しないこと同勅令就中同第五條が團體の結成を禁止しその内容を公開する立法趣旨であること並びに右政令の規定の明文が當該政黨に對する」とあるに照し極めて明瞭である。 二 既に被告人の主觀的認識にして黨に對する寄附金に非ずして個人に對する献金なりとする以上、假りに寄附者側の意團が黨に對するものであつたとしても、本件政令違反の不成立を妨ぐるものでない。 三 舊刑訴法第四三四條第二項に基き職權を以て調査するに、昭和二二年法律大二二五號議院における證人の宣誓及び證言等に關する法律は、その律法の經過に照し、各議院の國勢に關する調査の必要上規定せられた議院内部の手續に關するものである。そして議院における僞證罪等の告發について特に同法第八條本文及び但書のごとき特別の規定を設けた趣旨に徴すれば議院内部の事は、議員の自治問題として取扱い同罪については同條所定の告發を起訴條件としたものと解するを相當とする。然るに本件僞證罪については衆議院又は判示委員會の告發がないこと明らかであるから、同罪に對する公訴は不適法といわねばならぬ。從つて、本件僞證罪に対する公訴を受理し、これにつき實體的審理を行い被告人を無罪とした原判決は違法であるというべく、この部分に對する本件上告は、結局その理由あるに歸し、原判決は破毀を免れない。

参照法条

昭和21年勅令101號,昭和22年政令328號,舊刑訴法364條5號,舊刑訴法410條6號,昭和22年法律225號「議院における證人の宣誓及び證言時に關する」法律8條

全文

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添付文書1

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