裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)687
- 事件名
強盗殺人、同未遂
- 裁判年月日
昭和24年5月18日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻6号783頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年2月25日
- 判示事項
檢證についての辯護人の立會權と辯護人に立會の機會を與へないで行われた檢證の調書を採證した判決の違法
- 裁判要旨
辯護人は被告人の利益を擁護する職責があるのであるから裁判所は辯護人に對して其職責を全うせしめる爲め公判廷外の證據調に付いても豫め其施行の日時場所等を通知して、これに立會う機會を與えるのが相當である、殊に檢證に付ては舊刑事訴訟法第一七八條、第一五八條第一項により辯護人がこれに立會うことは其權利とされて居るのであるから裁判所は檢證を爲すに當つてはこれに立會う機會を辯護人に與えなければならない。大審院の判例では右の規定は訓示的のものであつて辯護人を立會わせることは裁判所の義務ではないということになつて居るけれどもこれは是認出來ない、檢證は調書の記載のみでは必ずしも事態の眞相を把握し難い複雜微妙な點があるので辯護人がこれに立會つて實地に見聞すると否とは被告人の利益に重大な影響があるのみならず現場に付て被告人の主張をよく説明し裁判所の注意を喚起する必要ある場合も少くないのである。其故辯護人に立會の機會を與へることは裁判所の義務と解すべきである前記規定を訓示的のものと解するが如きは被告人並びに辯護人の權利を重視する新憲法下において殊に許さるべきでないが本件においては前記の如く遠隔の地において實施される檢證が其當日しかも所定時刻經過後に至つて初めて辯護人に知らされたのであるから辯護人はこれに立會う機會を全く與えられなかつたものというべく、其立會なくして行われた檢證の調書を證據に採つた原審の措置は違法であるといわなければならぬ。そして此違法は判決に影響を及ぼす可能性あること勿論であるから論旨は理由があるものというべく原判決は破毀を免れない。
- 参照法条
舊刑訴法158條1項,舊刑訴法178條,舊刑訴法409條
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