裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)745

事件名

強盗傷人、強盗予備、窃盗

裁判年月日

昭和23年12月14日

法廷名

最高裁判所第三小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第2巻13号1739頁

原審裁判所名

大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和23年3月2日

判示事項

一 連續犯の判示の具體性の程度 二 控訴審において第一審が有罪と認定した犯罪事實の一部を無罪としながら第一審と同一の刑を言渡した場合と不利益變更禁止 三 証拠説明の方法 四 刑訴応急措置法第一〇条第二項と六ケ月余の拘禁後の自白 五 實質上理由のない不利益變更禁止規定違反の主張と裁判所第一〇條

裁判要旨

一 連續一罪を構成すべき數多の行爲を判示するには各個の行爲の内容を一々具體的に判示することを要せず數多の行爲に共通した犯罪の手段方法その他の事實を具體的に判示する該其連續した行爲の始期終期、回數等を明らかにし且つ財産上の犯罪であつて被害者又は賍額に異同があるときは被害者中ある者の氏名を表示する外他は員數を掲げ賍額の合計額を表示する等これによつて其行爲の内容が同一罪質を有する複數のものであることを知り得べき程度に表示すれば十分であることは當裁判所判例の示す所である。昭和二二年(れ)第九二號同二二年一二月四日、第一小法廷判決言渡) 二 刑事訴訟法第四〇三條の所謂不利益變更禁止の規定は被告人が控訴した事件又は被告人の爲に控訴した事件については控訴審の判決において第一審判決の主文の刑を重く變更することはできないという趣旨であつて、たとい控訴審において第一審が有罪と認定した犯罪事實中の一部分については犯罪の成立を認めないで、しかも第一審判決と同一の刑を言渡したとしても第一審判決の主文の刑を重く變更したとは言い得ない。 三 証拠説明は、必ずしも証拠の内容を一々摘録したり、原文のままを写録したりすることを要するものではなく、その趣旨を摘示し、或はその題目を掲げて判示事実又は他の判示証拠と綜合してその内容を認識し得る程度に挙示することにより、如何かる事実が如何なる証拠によつて証明されるかを判文上示せば足りる。 四 勾留状を執行されてから六ケ月余を経過した後になされた自白であつても、被告人の数が九人で、犯行は約一年三ケ月間にわたり、その間単独或は二名乃至五名が共謀して強盗傷人、強盗各一件、強盗予備二件、窃盗二三件にのぼる犯罪をした案件においては、右自白は、刑訴応急措置法第一〇条第二項にいわゆる「不当に長く拘禁された後の自白」にあたらない。 五 論旨は第一審で認定した犯罪行爲の一部が第二審で無罪になつたかにかかわらず刑が同じでは結局上訴しても不利益を受けることになり、かくの如きは憲法違反であるというのであるが同じ刑である以上實質上不利益ということは有り得ない。かかる有り得ない事實を前提として憲法違反であるという論旨の如きは裁判所第一〇條にいう「法律命令又は處分が憲法に適合するか否かを判断するとき」に該當しない。

参照法条

刑法55條,刑法60條,刑訴法360條1項,刑訴法403條,刑訴法360条,刑訴法130條,刑訴応急措置法10条2項,裁判所法10條

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