裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)1168
- 事件名
詐欺、贈賄、酒税法違反
- 裁判年月日
昭和24年12月13日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻12号1953頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年2月28日
- 判示事項
一 單なる不在者に對する主要食糧の受配と詐欺罪の成否 二 いわゆる二重配給と詐欺罪の成立
- 裁判要旨
一 凡そ日本國内に居住する者は特殊の者を除き何人も正規に發行された主食購入通帳により一定量の主食を一定の配給所から購入する權利を有するものであつて偶々受配者が他の地域へ轉住することがあつたとしてもかゝる轉住者は直ちに轉出、轉入の手續を採り轉住地の配給所においてのみ主食を購入しなければならないというような法規上の根據がないのであるから受配者が購入した主食の輸送その他の不便を忍ぶ以上−尤もそれが食糧管理法違反の罪を構成するか否やは別問題であるが−かゝる手續を採らない間は轉住前の地域の配給所から従前通り元の購入通帳により主食の配給を受けることは一向差支のないところである。其他一時旅行して居る者の分を其者に代つて世帶主が受取る様なことも(旅行者が旅行先で何等かの方法で配給を受けて居る場合の外)は少しも差支えないわけである。斯様に現在して居ない場所で配給を受けても差支ない場合も多々ありこれ等の場合には配給所でも轉住の事實又は旅行の事實を知つても配給をするであらうから、受配者が轉任又は旅行の事實を秘して受配したとしても其行爲と配給所の爲した配給行爲との間に因果の關係もないわけである。故に原審が判示した様に只現在して居ない者を現在して居る様に装つて配給を受けたというだけでは罪を構成しない場合がある。行衛不明になつてしまつた者の分とか、他所で配給を受けて居る者の分とか其他受けてはならない配給を受けた場合でなければ罪とならない。 二 原判決が證據に引用している被告人の原審公判廷における供述の要旨は原判示において大津市に現住していなかつたものと認定している合計九名の中一名は被告人がA名儀とB名儀でいわゆる二重配給を受けたもの、他の二名は被告人が判示配給を受けた當時既に無斷で被告人の許を去り所在不明になつていた人夫であり、殘りの六名は昭和二三年六月の福井震災の際之が復興工事の爲被告人の指示に従い同地に行つていた人夫だというにある。右の事實において被告人がいわゆる二重配給を受けた分と受配當時既行に方不明になつて大津市に實在していなかつた人夫二名の分について被告人が恰も現住しているように装い主食の配給を受けた點が詐欺になることは異論のないところである。
- 参照法条
刑訴146條1項,舊刑訴法410條19號,刑法246條1項
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