裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)1898
- 事件名
強姦、強盗
- 裁判年月日
昭和24年12月24日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻12号2114頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年4月19日
- 判示事項
婦女を強姦した者が同女の畏怖に乘じて金品を強取した場合の擬律
- 裁判要旨
刑法第二四一條前段の強盗強姦罪は、強盗犯人が強盗の機會において婦女を強姦することをその要件とすること所論のとおりである。しかるに、原判決は被告人が判示Aを強姦する際強盗の犯意があつた事實は認定しなかつた許りでなく、却つて同女を強姦し終つた後強盗の犯意を生じ同女からその所持金十五圓を強奪したという事實を認定しているのである。しからば、被告人の判示所爲は右強盗強姦罪に該當しないことは明らかである。尤もこの點について原判決は「被告人の行爲は婦女を強姦し、その畏怖に乘じて金品を強取したもので、犯情の點において他人を畏怖させて金品を強取したものがその畏怖に乘じ婦女を強姦した場合といさゝかも異らないから強盗強姦罪を構成する」と説明するのであるが、それは原審の誤れる見解と言わねばならぬ。けだし被告人の行爲が強盗強姦罪を構成するかどうかということゝ、その犯情が強盗強姦罪と同じであるということゝは自ら別の事柄である。原審が婦女を強姦した後その畏怖に乘じて更らに同女から金員迄も強奪した被告人の本件犯行を、その情状において強盗犯人が婦女を強姦した場合といさゝかも異らないとするものであれば、その點は被告人に對する量刑上十分に考慮すれば足りるのである。次に又、強盗強姦罪は強盗罪と強姦罪との結合犯であるから、強姦罪と強盗罪に該當する行爲とが同一機會に行はれさえすれば強盗強姦罪を構成するというのであれば、それは結合犯の概念を正解しないものと言うの外なく到底採用に値しない。
- 参照法条
刑法177條,刑法45條前段,刑法236條,刑法241條
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