裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)2062
- 事件名
強盗、窃盗
- 裁判年月日
昭和24年12月24日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻12号2120頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年5月23日
- 判示事項
開廷月日の記載のない公判調書の効力
- 裁判要旨
原判決が、第一審第一回公判調書を事實認定の證據として採用していること、及び第一審公判調書は二通あつて、一は公判開廷の日が昭和二三年一〇月三〇日と記載されているが、他は單に昭和二三年とあるのみで月日の記載のないことは、辯護人主張のとおりである。しかしながら(一)「一〇月三〇日の調書」には、第二回公判調書と明記されていること(二)記録をみれば「月日の記載のない調書」はその前に編綴されていること(三)右調書の末項に「裁判官は結審し判決言渡期日を來る一〇月三〇日午前九時と指定告知し訴訟關係人に出頭を命じたり」との記載があること(四)原判決引用の證據内容と右調書の記載内容とか符合することからみて、原判決の引用した第一審第一回公判調書というのは、右「月日の記載のない調書」をさすものであることは疑のないところである。しかして、右調書には公判開廷の月日の記載のないことは前述のとおりであるが、記録を調べてみると、記録表紙の開廷日欄には一〇月二八日及び一〇月三〇日宣と記載されてあつて、右兩日の外には第一審公判期日は開かれていないこと、第一審各辯護人の一〇月二八日午前九時の公判期日請書が記録に綴込まれてあり、しかも問題の調書には右各辯護人が出頭した旨の記載があることから推して考えれば、該調書に遺脱している公判期日は、昭和二三年一〇月二八日であることを明瞭に認めることができるのである。公判開廷の年月日を公判調書に記載することは、舊刑訴法第六〇條の要求するところではあるけれども、この記載を欠く場合に常に公判調書が當然無効になるものと解する必要はない。公判開廷の月日が公判調書自体の記載では判明しなくとも、本件のごとく記録の他の資料から事實上公判の開廷された月日が明瞭に認識し得る場合は、如上の欠缺は公判調書の無効を來するものでなく、同調書の記載内容は十分に證據力を有するものと判断するのが相當である。従つて右公判調書を證據とした原判決に所論のような違法あるものとすることはできない。
- 参照法条
舊刑訴法60條,舊刑訴法64條,舊刑訴法337條
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