裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)256
- 事件名
昭和二一年勅令第三一一号違反、昭和二二年政令六二号違反
- 裁判年月日
昭和24年4月26日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻5号662頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年1月11日
- 判示事項
一 昭和二二年政令第六二號第七條にいわゆる「執務の場所」の意義 二 公訴事實の一部が無罪となつた場合に訴訟費用の全部を被告人に負擔させることの可否 三 昭和二二年政令第六二號第三條第二項所定の「あらたに教職に就く」の意義と追放後己むを得ず爲した行爲 四 教職不適格として指定を受けた者が當然失職する趣旨の規定の有無 五 被告人の行爲が一旦教職を退いた後新たに爲したものか殘務であるか等について判斷を示さない判決の違法
- 裁判要旨
一 昭和二二年政令第六二號第七條は教務不適格者が從前の地位勢力等を利用して退職當時の勤務先であつた學校等に對してこれを支配したり、其他何等かの影響を與へたりすることを防止するため右學校等の執務場所に出入することを禁じたものである。此趣旨から見て同條の「執務の場所」とは退職當時の勤務先であつた學校が既に使用して居た執務の場所を指すこと勿論で、退職當時執務の場所でなかつた處でも犯行當時執務の場所であればいいのである。 二 公訴事實の一部が無届となつた場合でも訴訟費用の全部を被告人に負擔させても違法ではない、かかる場合訴訟費用の一部を負擔させるか或は其全部を負擔させるかは原審の裁量の範圍に屬するものであるから原判決に所論の様な違法はない。 三 原判決は被告人が判示第一に記載される行爲をしたことによりあらたに教職に就いたものとしてこれに判示政令第六二號第三條第二項を適用して居るのである。しかし同條法文の「あらたに」「就く」等の語によつて見れば同條は追放によつて教職を一旦去つた者(或は初めから教職に就て居なかつた者)が追放後あらたに教職に就く場合を規定して居るものと見るべきであろう。これを廣く解するとしても、追放後殘籍以外の新な教職上の事務を爲した場合を指すものというべく、追放後未だ教職を去らない者が、其直後殘務整理又は事務引続の爲め己むを得ず爲した行爲の如きは含まぬものと解するを相當とする。 四 原審は被告人が何時教職を退いたかを判示して居ないし原審舉止の證據を見ても明らかでない、原審は或は追放を受けた者は其れにより直ちに教職を失うものであるとの趣旨に出たのかも知れない、しかし所謂公職追放の場合においては覺書該當者はその追放指定の日より二一日目に當然失職する趣旨の規定が設けられて居るのに反し、教職追放に付てはかような規定はなく却つて昭和二二年文部外八省令第一號(昭和二一年五月一日)第二條によれば同第二條の私立學校の教員其の他職員又は教育に關する法人の役員の職にある者が教職不適格として指定を受けたときは文部大臣がこれを解職又は解任することができると規定していることに徴すれば、教職員については當然失職となるものではなく、本人の辭職又は右の解職又は辭任によつて始めて職を失うものと解するのが相當である。 五 原審が「あらたに教職に就いたものである」といつているのは或は殘務整理等の仕事でなく新な行爲をしたとの意であるかもしれないけれ共原判文によつては殘務であるか新な行爲であるかわからないのみならず舉示の證據を見ても明かでない、そして原審は被告人が追放の通知を受領した日の翌日からの行爲を罰しているのであるから、其中には殘務整理又は事務引続の爲必要な行爲もあるかも知れない、むしろあつたらうと想像する方が自然であらう、されば原審は本件被告人の行爲は被告人が一旦教職を退いた後あらたに爲した行爲であるか否か又若し退かない間の行爲であるならば殘務等の爲已も得ざるに出でた行爲であるか否かを判斷しなければならない此の點において原審は理由不備の違法あるものというの外ない。
- 参照法条
昭和22年政令62號7條,昭和22年政令第62號3條2項,昭和22年政令62號3條,昭和22年政令62號3條2項,舊刑訴法237條2項,舊刑訴法410條20號
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