裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)257
- 事件名
傷害、詐欺
- 裁判年月日
昭和24年6月16日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻7号1077頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年12月22日
- 判示事項
一 「被告人は土木請負業A組の最高幹部であつたが」との判示と憲法第一四條第一項 二 被告人が甲を毆打せんとしてこれを制止しようとした乙を毆打した行爲の擬律 三 傷害罪において毆打の方法と回數が判示と證據との間に些少の相違がある場合と上告理由
- 裁判要旨
一 原判決における所論「被告人は土木請負業A組の最高幹部であつたが」の判示は單に被告人の經歴を示したに過ぎないもので、所論のようにこれを判決の前提又は背景としたものでないこと明白であるから、かような判示したからといつて、直ちに原判決が被告人に對してその身分門地によつて差別的取扱をしたとはいえない。 二 いやしくも人を毆打する意思をもつて人を毆打した以上暴行罪は直ちに成立しその毆打された者が毆打せんとした者と異つても暴行罪の成立に必要な故意に影響を來すものではない。されば被告人がBを毆打せんとして、これを制止せんとした同人の内妻「C」を毆打した以上、同女に對する暴行の故意がないものとはいえない。それ故、原判決が被告人のCに對する犯行をもつて、刑法第二〇四條に問擬したのは正當であつて、原判決には所論の違法はない。 三 原判決が確定した第一事實の判示に所論摘示のとおり「Bの顏面を數回手拳にて毆打し」とあるにかかわらず原判決舉示の證據には所論摘示のように「平手にて、一、二回顏面(或は顏或は額の邊り)を毆つた」とあることは所論のとおりである。されば「平手で一、二回」と判示するのが原判決舉示の各證據の文面にそうわけであつて、所論指摘の判示は精確を缺くものといわなければならない。しかし傷害罪は人の生理的完全性を侵害する罪であつて、その侵害する手段方法又はその回數の如何は犯罪の構成に消長を來す事由となるものでない。されば、かような傷害の手段方法等に關する前記程度の判示と證據との間の相違は舊刑訴法第四一〇條第一九號にいわゆる「理由に齟齬あるとき」に該當しないものと解するのが相當である。
- 参照法条
憲法14條1項,刑法38條,刑法204條,舊刑訴法360條1項,舊刑訴法410條19號
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