裁判例結果詳細

事件番号

昭和26(あ)654

事件名

窃盗、賍物運搬

裁判年月日

昭和26年6月28日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第5巻7号1303頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和25年10月26日

判示事項

一 追起訴事実に対する弁護権と弁護権の範囲に関する判例(大審院、名古屋高裁)違反の主張の適否 二 一訴因は予備的に追加又は変更し得る 三 一訴因は追加を変更と誤認しても判決に影響しない 四 一訴因は予備的追加又は変更前の訴因について無罪の言渡の要否

裁判要旨

一 原判決は前に被告人のためになされた弁護人の選任の効力は当然、その選任後同一被告人に対し起訴される一切の被告事件に及ぶものと断定したのではなく、曩に選任された弁護人の弁護権は被告人その他選任権者において特段の限定を為されない以上同一の機会に追起訴され且つ一つの事件として併合審理された被告事件の全部に及ぶものと解するを相当とすると判断したに過ぎないものであつて、原判決の見解は正当であり、これを是認することができる。従つて、原判決の判断は所論名古屋高等裁判所(昭和二五年一月二七日特報四号五一頁)(選任行為に因つて明示された事件に限る)と必ずしも相反するものではないし、また、所論大審院の判例(昭和一〇年二月一八日集第一四巻一一〇頁)は、数個の出版法新聞紙法違反事件に係り本来旧刑法の数罪倶発の例を用いないか又は刑法併合罪の規定を適用せず、従つて、併合審理した場合でも裁判の各一部に対し独立して上訴を許す(旧刑訴法第三八〇条、刑訴法第三五七条参照)案件に関する原審弁護人の上訴権の有無についての判例であるから本件に適切ではない。従つて、所論は結局刑訴法第四〇五条第三号に当らないし、また、仮りに当るものとしても同法第四一〇条第二項に従つて右判例を変更して原判決を維持するを相当と認める。 二 訴因を予備的に(すなわち当初の訴因が否定される場合の予備として)追加又は変更し得べきことは刑訴法第二五六条第五項、第三一二条により明白であり、且つ、公訴事実の同一性を害しない限度における訴因の追加(新らたな訴因を附加すること)と変更(同一訴因の態様を変更すること)とは、その法律上の効果を異にしないから、追加を変更と誤認しても判決に影響なきは勿論第一審においてした訴因の変更又は追加を第二審において更らに改めて追加又は変更する手続を執る必要はなく、また、有罪無罪は公訴事実に対しなさるべきものであるから、公訴事実が同一である以上その範囲内の追加又は変更前の訴因でこれを否定すべきものについては主文において無罪を言渡すべきではない。従つて、原判決には結局所論の違法又は不当が認められない。

参照法条

刑訴法30条,刑訴法405条3号,刑訴法410条2項,刑訴法256条5項,刑訴法312条,刑訴法336条,刑訴規則17条,刑訴規則18条

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