裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)1388

事件名

強盗幇助、銃砲等所持禁止令違反等

裁判年月日

昭和24年3月5日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第3巻3号257頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和23年5月24日

判示事項

一 被告人の公判廷の供述と公判廷外の供述とが異る場合と採證の自由 二 聴取書の供述者に對する辯護人の證人申請を一應却下しながら結局公判期日に同證人に對する訊問の機會を被告人に與えた場合その證言を證據に採ることの可否 三 憲法第三六條にいわゆる「残虐な刑罰」の意義 四 刑法第五六條規定に累犯關係に立たない前科(詐欺罪)についての判斷判示の要否 五 辯護人の主張に對し判斷を示す限度 六 舊刑訴三六〇條所定以外の事項につき判斷を示さないことと憲法違反の有無

裁判要旨

一 直接審理主義や口頭辯論主義の建前をとることは必ず被告人の公判廷における供述のみに措信しなければならぬという結論を生むものではない、被告人の公判廷に於ける後述と所論の如き公判外における供述とが異る場合にその何れを採用するかは事實審裁判所が審理の手續を適法に履踐する以上自由に取捨判斷することが出來ることは當裁判所の屡々判例とするところである。 二 原審は被告人Aの辯護人よりの所論の申請を一應は却下したけれども結局公判期日において同證人に對する訊問の機會を被告人Aに與えたのであるから同證人の供述を録取した所論の聽取書を前記判示事實認定の證據としても何ら刑訴應急措置法第一二條第一項に違反するものではない。 三 憲法第三六條にいわゆる「残虐な刑罰」とは人道上残酷と認められる刑罰という意味であつて事實審の裁判官が普通の刑を法律で許された範圍内において量定した場合にはそれが被告人の側から見て「過酷」と思はれるものがあつてもこれに當らないことは既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第三三三號昭和二三年六月二三日大法廷判決参照)原審は判示の如く強盜教唆並びに拳銃所持の事實を認定し被告人に對して法定刑の範圍内において懲役六年の實刑を言渡したのであるから憲法第三六條にいわゆる「残虐な刑罰」を科したものでないことは多言を要しない。 四 右の事實(詐欺罪の前科)と本件犯罪とは刑法第五六條以下に規定する累犯の關係にはないし舊刑事訴訟法第三六〇條所定の事項にも該當しないのであるから原判決がこの點について何らの判斷も示さなかつたことは固より當然のことであつて所論のように理由不備とか判斷遺脱の違反はない。 五 判決においていかなる程度に辯護人の意見に對する判斷を説示すべきかは舊刑事訴訟法第三六〇條の明定するところであつて辯護人の辯論であるからとて輕重を問はず悉く、これに對する判斷を明示しなければならぬものではない、原審公判調書及び所論の辯論要旨に基いて原審辯護人の主張を檢討するに所論の主張は結局事實の認定證據の取捨判斷並びに量刑に關する意見及び犯情に關する事實の開陳に歸着するのであつて、原判決はその認定した事實、該事實認定の資料として採用した證據及び科刑を判示することによつて辯護人の前記意見に對してはその判斷を示してをり證據取捨の理由量刑の理由及び犯情に關する事實の有無は前示法條所定の事項に該當しないのであるから、原判決がこの點につき特に判斷を明示しなかつたのは當然のことであつてこの點に關する辯護人の主張を排斥し理由を判示しなかつたからとて直ちに所論のようにこれを無視したものと即斷することは出來ない。 六 論旨は原判決が辯護人の辯論中にある主張につい審理判斷を示さなかつたことは憲法第一三條等に違反する旨主張するのであるが舊刑事訴訟法第三六〇條所定の事項については原判決書にその判斷が示されていること前述のとおりであるからこの點については所論の違憲問題を判斷するまでもないことであり同條所定の事項以外の點については特に示さずとも、違憲の問題などを生ずるものでないことは當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(れ)第一七一號、昭和二三年五月五日大法廷判決参照)

参照法条

舊刑訴法337條,舊刑訴法360條,刑訴應急措置法12條1項,憲法36條,刑法56條

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