裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)1410
- 事件名
銃砲等所持禁止令違反、殺人幇助、殺人
- 裁判年月日
昭和24年3月10日
- 法廷名
最高裁判所第一小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻3号281頁
- 原審裁判所名
仙台高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年4月3日
- 判示事項
一 他人を殺害する目的で銃砲等を所持したと判示しただけでその所持につき法定の除外事由がなかつたことを判示しなかつた判決の正否 二 銃砲等所持禁止令第一條第一項の除外例と舊刑訴法第三六〇條第二項の「法律上犯罪ノ成立ヲ阻却スベキ事由」 三 辯護人の證人申請を却下しながらその證人に對する司法警察官の聽取書を證據に採つた判決の違法 四 綜合認定の場合における各個の證據の價値 五 拘禁中の自白の證據力 六 少年に對し不定期刑を言渡した第一審判決に對する附帯控訴と不利益變更禁止 七 証人申請理由の不明と刑訴応急措置法第一二条第一項による供述者尋問の請求
- 裁判要旨
一 銃砲等所持禁止令第二條所定の犯罪は銃砲等を所持するによりて直ちに成立するもので、積極的に法定の除外事由あることはその犯罪の成立を阻却する事由たるに過ぎないものである。されば同條の積極的犯罪要件たる罪となるべき事實は單に銃砲等を所持する事實に過ぎないものといわねばならぬ。從つて原判決が判示拳銃及び刀劍の携行をA、Bを殺害する目的に出でたる所持なりと判示しただけで特に法定の除外事由なくしてと判示しなかつたからといつて所論のように罪となるべき事實を判斷しない違法ありということはできない。 二 銃砲等所持禁止令第二條所定の犯罪について法定の除外事由たる同令第一條第一項の除外例は、法律上犯罪の成立を阻却すべき事由と解すべきであるから原審においてかかる事由ある旨の主張のない本件においては、原判決がこれにつき特に判斷を示さなかつたからといつて、所論の違法ありといえない。 三 原判決が被告人に對する事實認定の證據としてCに對する司法警察官の聽取書を採用したこと並びに原審において同被告人の辯護人より右Cを證人として申請したにかかわらずこれを却下して取調をしなかつたことは違法である。 四 原判決は所論の各證據をそれぞれ所論のような獨立個別的の趣旨において證據としたものでなく、これを綜合して判示第一の事實を認定したものであること明白である、それ故綜合された右各證據を分解して個別的に觀察すれば犯罪事實の一部のみを證明し得るに過ぎなくともこれを綜合考覈して犯罪事實全部を證明し得るにおいては證據を缺如するものとはいえないこと勿論である。 五 拘禁中なされた自白であるとの一事を以て證據の能力又は價値を否定するを得ないのはいうを俟たない事である。 六 一件記録を見るに第一審檢事は被告人Dに對し少年法を適用すべきものとして、懲役四年以上七年以下の求刑を爲し第一審判事もその見解を容れ同被告人を同一刑に處したのであるが附帯控訴權を有する原審檢事は同被告人に對し單に懲役五年を求刑し原判決もその檢察官の求刑通り懲役五年の判決をしたものであること明白である。そして控訴審における檢察官の附帯控訴は辯論の終結に至るまで自由にこれを爲し得るものであり、しかもその法式については何等の制限規定も存しないのであるから前記のごとき經緯の原審檢事の求刑は附帯控訴をしたものとも見ることができる、されば同一被告人に對し言渡された少年法による不定期と成年に達した後の宣告刑との輕重を比較する場合において假りに所論のように不定期刑の短期を標準とすべきものとしても本件における原判決には舊刑訴第四〇三條に違反する不法はないものといわねばならぬ。 七 訴訟記録中に被告人以外の者の供述を録取した書類がある場合に、公判廷において訴訟当事者が右書類の供述者を証人として申請し、公判調書その他一件記録上申請の理由を知ることができないときは、右申請は、刑訴応急措置法第一二条第一項による書類の供述者の尋問請求と解しなければならない。
- 参照法条
銃砲等所持禁止令2條,銃砲等所持禁止令1條1項,舊刑訴399條,舊刑訴403條,舊刑訴法360條1項,舊刑訴法360條2項,舊刑訴法336條,舊刑訴法337條,刑訴應急措置法12條1項,刑訴應急措置法10條2項,刑訴応急措置法12条1項,少年法8條1項
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