裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)1488
- 事件名
強盗殺人、強盗、住居侵入
- 裁判年月日
昭和24年7月13日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第3巻8号1304頁
- 原審裁判所名
広島高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年6月29日
- 判示事項
一 犯罪供用物件である兇器を公判廷で證據調をしないで強盜殺人罪を認定した場合 二 搜査段階において司法警察官によつて領置された物件と舊刑訴法第三四二條 三 事實認定の資料とした司法警察官の證據物の領置書又は領置目録の證據能力 四 公判期日の前日に選任された辯護人が終始公判に立會いながら期日の延期、續行の申請がない場合と辯護權の不法制限
- 裁判要旨
一 本件のごとく、短刀拳銃、小銃等を使用して人を殺害して、物を強取したという條件において、これら兇器が領置、押収されている場合、裁判所が事實審理をするに當つては、公判廷において被告人に直接これらの證據物を示し、その意見辯解を開き適法な證據調を經た上で犯罪の證據としてこれを判決に舉示することは事實審として、まさにとるべき妥當の措置ではあるけれども、かくのごとき兇器等といえども必らずしも常に、これを公判廷に顯示して證據調をしなければならないというものではない。その他の證據で犯罪事實を認定し得る場合には事情によつて兇器等を證據としないで、本件におけるがごとく間接に、右兇器等に對する捜査官の領置書若しくは領置日録をとつて、犯罪事實認定の資料とすることも法律上許されないことではないのである。 二 犯罪捜査の段階において、司法警察官によつて、領置された物件のごときものは、舊刑訴法第三四二條の、「公判期日前訴訟關係人ヨリ提出シタル證據物」にも、同法第三二六條乃至第三二八條により、裁判所が公判期日前「集取シタル物」にも該當しないのであるから右物件について、原審が公判において證據調をしなかつたことをもつて、同法第四一〇條第一三號に該當する違法ありとすることはできない。 三 論旨は、原判決が、司法警察官作成の證據物の領置書若しくは、領置目録を事實認定の資料としたことをもつて、適法なる證據に基ずかして事實を認定した違法があると主張するのであるが、右のごとき書類といえども、公務員がその職務權限に基いて作成した文書であつて、その記載内容が證據品の領置に關するに過ぎないからといつて當然にその證據能力を否定する何らの根據もなくその文書の記載内容の趣旨に從つて、事實證明の用に供し得ることは勿論である。 四 公判期日の前日に辯護人を選任するかごときは、辯護權を尊重すべき裁判所の措置として、當を得たものでないことは勿論であるといわなければならない、記録を査閲すれば、原審において、被告人Aは、自ら辯護人を選任することができない旨を申出でたため、裁判所は昭和二三年六月一四同人のため辯護士宗政美三を辯護人に選任し、翌一五日公判を開廷し、同辯護士立會の上自實審理、證據調を施行同辯護士の辯論を經て、即日公判手續を終結したことは、所論のとおりである。しかしながら、原審公判調書によれば當日の公判には終始、右辯護人は立會つたのであるが、辯護人から辯論準備のため期日の延期若しくは審理の續行を申出た形跡もなく、その開廷並びに審理の進行について、被告人からも辯護人からも別段の異議もなく、辯護人の辯論を經て結審となつているのである。おもうに本件はその内容かさして複雜というでもなく公判における事件の審理も相當詳密に行われたので、辯護人としては、特に期日の延期續行等を申請するまでもなく、公判審理に立會うことによつて十分に事件の全貌を把握し得て被告人の辯護に欠くるところのないものと信じ直ちに辯論をして、その日の結審に別段の異議を述べなかつたものと推斷するのが相當である。若し辯護人において辯論準備のためになお時間的余裕が必要と思えば期日の延期續行を申請すべきであつて、裁判所がかかる申請をも容れず従らに結審を急いだという場合ならはまさに不法に辯護權を制限したというべきであるけれども、本件においてかかる形跡のないことは前述のとおりであつて、かくのごとき場合においても、裁判所が職權をもつて辯論を續行しない限り、不法に辯護權を制限した違法あるものとすることは到底首肯し難いところである、以上の次第であるから裁判所が公判期日の前日に辯護人を選任した一事をもつて直ちに原判決に舊刑訴第四一〇條第一一號に該當する違法ありとの論旨は、これを採用することができない。
- 参照法条
旧刑訴法336条,旧刑訴法360条1項,旧刑訴法327条,旧刑訴法342条,旧刑訴法410条13号,旧刑訴法337条,旧刑訴法334条,旧刑訴法410条11号