裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)659

事件名

有毒飲食物等取締令違反、過失致死

裁判年月日

昭和23年11月25日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

刑集 第2巻12号1638頁

原審裁判所名

東京高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和23年4月30日

判示事項

一 有毒飮食物等取締令第一條第一項の「飮食物」の意義 二 有毒飮食物等取締令第一條の「讓渡」が有償であるか無償であるかについての判示要否 三 アルコールを飮用として讓渡する者の注意義務 四 證據の取捨の自由と憲法第三七條第一項 五 アルコールを飮用として讓渡する者の注意義務と被害者の過失 六 有毒飮食物等取締令第一條第一項に該當するアルコールの讓渡數量及び讓受人の人數の誤認と審理不盡の有無 七 法禁物の沒收

裁判要旨

一 有毒飮食物等取締令第一條第一項の「飮食物」は、所論のごとく「販賣」の用に供する飮食物に限定すべき理由はない。 二 有毒飮食物等取締令第一條の「讓渡」が有償であるか無償であるかは同條違反罪の成否に關係がないから、その何れに屬するかを判示しなくとも審理不盡ということはできぬ。 三 製造元も明らかでなく、又その性質も判らない殊に本件のごとく工業用としての品質不良のアルコールを他に飮用として讓渡するには、確實な方法によつてその成分を檢査し飮用して差支えないものであることを確かめる義務のあることは言うまでもないところである。(昭和二三年(れ)第五六六號同年八月一一日第一小法廷判決) 四 憲法第三七條第一項にいわゆる公平な裁判所の裁判というのは構成其の他において偏頗の惧なき裁判所の裁判の意味であることは當裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一七一號同二三年五月五日大法廷判決)の示すとおりである。だから事實審たる原裁判所の裁量權に屬する證據の取捨が被告人の側から觀て公平でないからといつて原判決が憲法第三七條第一項に違背するものだとはいえない。 五 被害者にも過失がないとはいえないことは所論のとおりであるが、さればといつて、本件アルコールを被害者に讓渡する場合の被告人の注意義務乃至この義務違反の責任が當然に消滅するものでないことは多言を要しない。 六 讓渡の數量並びに讓受人の人數の如何は讓渡行爲の犯罪構成要件に屬しないから本件讓渡の數量が判示のごとく二升ではなく所論のごとく一升又は一升一合であり、また讓受人の人數が判示のごとく五名ではなく所論のごとく三名であつたとしても本件における讓渡なる犯罪行爲の成立を妨ぐるものではない。それ故(この點を・して審理不十分とする)所論は原判決を破毀するに足る事山とはならない。 七 論旨は、原判決において沒收した押收品中昭和二二年押第四一二號中の一、二の物件の所有權は、讓渡人である被告人から讓受人に移轉したものであつて、從つて犯人以外の者の所有に屬するから沒收することはできぬと主張する。しかし、これらの物件は本件犯罪行爲の組成物であつて何人の所有をも許さざる法禁物であるから刑法第一九條第一項第一號及び第二項によつて犯人以外の者に屬しないものとして沒收するを相當とする。

参照法条

有毒飮食物等取締令1條1項,有毒飮食物等取締令第1條,有毒飮食物等取締令1條,刑訴法360條第1項,刑訴法210條,刑訴法337條,刑訴法360條1項,憲法37條1項,刑法19條

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