裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和24(そ)4
- 事件名
非常上告申立
- 裁判年月日
昭和25年2月1日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
その他
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第4巻2号108頁
- 原審裁判所名
奈良地方裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年2月23日
- 判示事項
一 公職追放令違反事件に對する日本の裁判所の裁判權 二 昭和二二年勅令第一號第一六條第一項第一號違反事件における審判の範圍と追放處分 三 追放處分の根據に對する日本の裁判所の權限の有無 四 覺書該當の理由となつた事項に對する被告人の主観的認識の有無につき審判することの可否
- 裁判要旨
一 昭和二二年勅令第一號の第一六條第一項第一號違反事件については、同二一年一月四日附覺書第一七項(本指令所定の一切の調査表、報告書若しくは申請書の故意の虚僞記載又は此等の中に於ける充分且安全なる發表の懈怠は降伏條件の違反として連合國最高司令官之を處罰することを得べし、更に日本帝國政府は右の如き故意の虚僞記載又は不發表に對し日本裁判所に於て日本法律に依り適當なる處罰を爲すに必要なる一切の規定を爲し且必要なる起訴を行うものとす)により、日本の裁判所が審判權を有することは明白である。 二 昭和二二年勅令第一號第一六條第一項第一號には「第七條第一項の調査表の重要な事項について虚僞の記載をし又は事實をかくした記載をした者」と規定されているから、同號違反事件の審判をするには、日本の裁判所は、當該調査表の事項が重要な記載事項に屬するか否か、該事項が調査表記載當時存在していたか否か、被告人が調査表記載當時該事項が存在しない虚僞のものであることを認識しながら敢て虚僞の記載をしたか否か又は記載當時該事項が充分且つ完全に存在することの認識を有しながら敢て不完全且つ不充分に發表して事實をかくした記載をしたか否か等犯罪構成事實の存否を審判する權限をも有するものといわなければならない。しかのみならず、調査表は、公職追放手續の資料として、その手續の初頭に提出されるのを普通とし、從つて、前記勅令の第一六條第一項第一號違反の犯罪は、追放前に成立するものであり、且つ、その記載事項は追放に該當する事項に限定されるものではなく、また、追放は、調査表以外の資料をも審査し調査表に記載されていない事由に因つても行われるものであるから、同事件においては日本の裁判所は、追放手續そのものには關係なく、専ら調査表につきその記載當時における前示犯罪構成事實の有無を審判すべき筋合である。 三 連合國總指令部の指摘の趣旨を審究するに、追放は、前示一九四六年一月四日の覺書を履行するために行われる特別な行政處分であつて、これが手續一切はその初頭たると中途たると結果たるとを問わずすべて日本の裁判所の權限外であり、從つて、その手續の結果追放處分が行われたときは、その處分の根據が眞實であるか又は充分であるか等處分の根據の有無を審理することは日本の裁判所の權限内にないものと解すべきである。 四 日本の裁判所は、前記違反事件において、追放機關が追放の根據として認定しない換言すれば覺書該當の理由としない調査表の記載事項について、その存否を認定する審判權限を有すること明らかである。また、覺書該當の理由となつた事實であつても、これに對する被告人の主観的認識の有無については審判權限を有するものと解さなければならない。なぜなら、若しかゝる主観的認識の有無についての審判權限を有しないものとすれば日本の裁判所は犯意なき者を罰する機關に過ぎないことになり刑事裁判の本質に反するからである。
- 参照法条
昭和22年勅令1號公職に関する就業禁止、退官、退職等に關する件16條1項1號,昭和22年勅令1號公職に關する就業禁止、退官、退職等に關する件7條1項,昭和22年勅令1號公職に關する就業禁止、退官、退職等に關する件16條1項1號,昭和22年勅令1號公職に関する就業禁止、退官、退職等に關する件,昭和22年勅令1號公職に關する就業禁止退官退職等に關する件,昭和21年1月4日附覺書17項,昭和21年1月4日附覺書