裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和25(あ)1545
- 事件名
加重逃走、加重逃走未遂
- 裁判年月日
昭和26年7月11日
- 法廷名
最高裁判所大法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
刑集 第5巻8号1419頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和25年3月8日
- 判示事項
一 刑法第九八条、同法第一〇二条の合憲性 二 違憲審査権の限界(違憲の主張のない法令の違憲審査はできるか)
- 裁判要旨
一 しかし憲法は理由があれば被疑者が拘禁され抑留されうることを認め且犯罪による処罰の場合には犯人に肉体的拘束が加えられることを是認している(憲法第三四条、三一条)。従つて所論未決若しくは既決の囚人が拘禁の苦痛を免れようとする衝動から逃走するのは、憲法が保障する自由を回復する行為ではない。なぜならば未決、既決の囚人がその身体の自由を制限されている場合には法律の定める手続によらなければ右自由を回復しえないものだからである。そしてかかる囚人の自己逃走を処罰するために設けられた前記刑法第九八条及び同法第一〇二条の規定は公共の福祉を保持するために自由の制限を認めたものであつて、所論のごとき違憲のかどは認められないから論旨は採用できない。 二 (少数意見要旨)裁判官栗山茂 憲法上立法権の専断的行使を抑制(チエック)する一方法として裁判所は訴訟の形式においてだけ違憲法律の審判ができることになつているのである。これを通俗に司法の優位と呼んだからといつて憲法上の機関として司法権が立法権に優位するのではないから、裁判所は争訟がないのに(争訟がないということは当事者から違憲性の主張がないということと同じである。)法律が憲法に適合するかしないかについて調査をしてその意見を表示する権限までも含むものではない。されば裁判所は当事者から法律の違憲について主張がないにもかかわらず、性質上適憲性が推定されている法条を解釈適用するに当つて、一々該法条が適憲であるかどうかを判断した上で事案を処理しなければならないものではない。
- 参照法条
刑法98条,刑法102条,憲法11条,憲法13条,憲法81条