裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和23(オ)13
- 事件名
村会議員選挙無効訴願の裁決に対する訴訟
- 裁判年月日
昭和23年6月26日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
民集 第2巻7号159頁
- 原審裁判所名
福岡高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和22年12月17日
- 判示事項
一 選舉管理委員長の捺印のない投票用紙と選舉の効力 二 投票の効力と選舉の効力
- 裁判要旨
一 右の如く選舉管理者側の過失により違式の投票用紙百三十八票を選舉人に交付したことは明かに選舉の規定に違反するものと云わなければならない。從つてもしその違反が選舉の結果に異動を及ぼす虞れがあるならば本件選舉は全部無効であると判定しなければならない。しかしながら右の捺印漏れの百三十八票の投票用紙はすべて地方事務所から送つて來たものであつて選舉當日投票場で選舉事務從事者から投票用紙として交付されたものでその以外の用紙は一枚も混入していなかつたのであるから本件選舉において不正投票の混入があつたことは全然認められないのみならず右投票用紙の交付は選舉事務從事者の單なる過失によるもので何等選舉の自由公正を害する目的をもつて爲されたものでないのである、そして若し假りに本件選舉でその百三八票の投票用紙に捺印がしてあつたとしたならば選舉人は本件と同じ候補者に投票したに違いないということが確實に考へられるのであるから、かゝる場合は選舉の結果につき異つた結果を生じたかも知れぬと思量せらるる場合に該當しないのである。即ち選舉の結果に異動を及ぼす虞ある場合に該當しないのであるから本件については選舉無効の判決を爲すべきではない。 二 選舉訴訟は選舉の効力に關する争訟である、選舉というのは選舉期日の指定、選舉人名簿の確定、候補者の届出、投票用紙の調整、各選舉人の投票及び其の管理投票の結果の審査、當選人の決定等の數多の行爲を包括する集合的行爲である、換言すれば選舉の管理執行に關する一連の行爲を總稱する觀念である選舉訴訟はこの意味における選舉の効力に關する争訟であるから争う目的となるものは特定の選舉區開票區又は投票區における集合的行爲としての選舉の全体の効力である、個々の投票についてその効力を争うことは唯當選訴訟の理由となるだけで選舉訴訟の理由とはなり得ない、而して如何なる場合において選舉が無効となるかについては地方自治法第六七條に「選舉の規定に違反することがあるときには、選舉の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り、選舉管理委員會又は裁判所は、その選舉の全部又は一部の無効を決定し、裁決し、又は判決しなければならない」と規定しておるから選舉訴訟における選舉無効の原因は選舉の規定に違反したことと其の違反の爲めに選舉の結果に異動を及ぼす虞れあることである。選舉の規定に違反するとは選舉の管理執行の手續に關する規定に違反することであり、選舉の結果に異動を及ぼす虞ある場合とは選舉の規定の違反が若しその違反がなかつたならば選舉の結果につき或は異つた結果を生じたかも知れぬと思量せらるる場合をいうのである。蓋し選舉の規定に違反する場合でもその違反が少しも選舉の自由公正に行はれることに影響がない場合にはその選舉の結果は違反のない手續に依つて得られるべき結果と異なるところはないのであるから之を無効として選舉をやり直す必要はないからである。從つて選舉の結果に異動を及ぼす虞ある場合なりや否や判定するには一に前記の場合に該當するや否やによつて決すべきであつて投票の有効無効を判斷しその得票數の算定によつて之を決すべきものではない。得票數の算定は專ら當選の効力を決する理由となり得るだけで選舉の効力を決する理由となり得ないものである。
- 参照法条
地方自治法67條,地方自治法66條
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