裁判例結果詳細

事件番号

昭和26(れ)485

事件名

昭和二二年政令第一六五号違反、物価統制令違反

裁判年月日

昭和26年8月28日

法廷名

最高裁判所第三小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第51号1101頁

原審裁判所名

福岡高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和25年11月28日

判示事項

一 二回に収受した占領物資を所持する罪の罪数 二 被告人に不利益な主張と上告の適否 三 数回の取引に対して一括して統制額超過の謝礼を為した行為と罪数 四 違法の認識と犯意の成立 五 違法の認識を欠いていたという主張と旧刑訴法第三六〇条第二項

裁判要旨

一 原判決はその事実摘示(第一審判決の記載引用)において、被告人Aが二回に亘つて占領軍兵士某から占領軍物資を収受して不法に所持した旨を判示しているが、二個の占領軍物資不法収受罪乃至同所持罪を認定したのではなく、包括して一個の同所持罪を認めたものであることがその判文上からおのづからわかる。論旨は原判決が二個の犯罪を認めたものと誤解し、誤解を前提として原判決を非難するものであるから、採用することができない。(なお二個の犯罪を認むべきであるという主張は被告人にとつて不利益な主張であるから適法な上告理由とならない) 二 原判決は(その引用する第一審判決第五の一において)、被告人Aが(イ)二回に亘りBより鮮魚等を統制額にて買受けるに際り杉下駄二百足を謝礼名義にて超過支払をした事実及び(ロ)三回に亘り右Bより鮮魚等を統制額にて買受けるに際り協力金又は謝礼金名義にて金二万円を超過支払をした事実を認定している、各一回の取引毎に各一個の犯罪があつたものとしたのではなく(イ)の二回の取引につき杉下駄二百を贈与したとき並に(ロ)の三回の取引につき現金二万円を交付したときそれぞれ各一罪が成立したものとした趣旨が窺われる。 三 所論のように進駐軍の一兵士が本件物資は占領軍の払下品であるという証明書を交付したからとて、それだけで昭和二二年政令第一六五号第一条第一項にいはゆる「公に認められた場合に」にあたるものでないことは論をまたずして明かである。仮りに被告人が所論のような事情によつて公に認められた場合に該当すると信じたとしても、それは結局違法の認識を欠いていたというに過ぎない。しかるに違法の認識を欠いたからとて、犯意の成立を妨げるものでもなく、罪責を左右するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二〇二号同年七月一四日大法廷判決、昭和二四年(れ)第二二七六号二五年一一年二八日第三小法廷決定)に徴して明らかである。 四 進駐軍兵士が占領軍の払下品であるという証明を交付したから被告人は本件物件は払下品と思つて買受けたので無罪の判決を願うとの主張は前記のように結局違法の認識を欠いていたという主張に外ならないから、旧刑訴法第三六〇条第二項にいわゆる法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張ではない。

参照法条

旧刑訴法409条,旧刑訴法411条,旧刑訴法360条2項,刑法45条,刑法38条3項,物価統制令3条

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