裁判例結果詳細

事件番号

昭和59(オ)1368

事件名

請求異議

裁判年月日

昭和62年7月16日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

破棄自判

判例集等巻・号・頁

集民 第151号423頁

原審裁判所名

大阪高等裁判所

原審事件番号

昭和58(ネ)1029

原審裁判年月日

昭和59年8月30日

判示事項

裁判上の和解調書に基づく強制執行が権利の濫用に当たらないものとされた事例

裁判要旨

甲.乙間に土地の境界をめぐる紛争があり、乙が建築しようとした建物についての甲の申請にかかる建築工事禁止仮処分事件で甲・乙間に裁判上の和解が成立した場合において、右和解の趣旨.目的が、右仮処分申請当時、建築工事中の右建物の一部が甲主張の境界線を若干越えていたが、既に基礎工事が完成していたところから、既存の工事部分をできるだけ壊さないで利用できるようにするとともに、右建物と境界線との間に民法二三四条一項に従い五〇センチメートルの距離を保てるようにするため、互譲により形成されたA線をもつて境界とすることを相互に確認するとともに、乙は甲に対し右A線から五〇センチメートルの間隔を置いたB線とA線との間には建物を建築しないことを約するにあり、右和解目的の実現のため、乙が甲に対し和解成立当時既にB線を越えて設置されていた構築物を乙の費用負担において撤去することを約したにもかかわらず、乙が右和解成立後B線を越えて建物の建築を続行し、これを完成するに至つたなど判示の事情のもとにおいては、甲が、乙に対し、裁判上の和解調書中の右構築物撤去条項を債務名義とする強制執行として、B線を越えて建築された右構築物と一体をなす建物部分の撤去を求めることは、正当な権利の行使であつて、権利の濫用に当たるものではない。

参照法条

民事執行法35条,民法1条2項,民法1条3項

全文

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