裁判例結果詳細

事件番号

昭和34(オ)143

事件名

前渡金返還請求

裁判年月日

昭和37年3月15日

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集民 第59号223頁

原審裁判所名

広島高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和33年11月27日

判示事項

会社の代表取締役がその行為によつて第三者に損害を負わせたことにつき悪意または重大な過失が認められないとされた事例

裁判要旨

銀行に多額の債務を負い、資産状態の悪化している会社の代表取締役が、さきに右会社が融通のため振出した手形の受取人兼裏書人である者から手形金支払の資金として電送された金銭を右銀行の当座預金口座に振込んだところ右銀行が資産状態の悪化を理由に当座取引を一方的に解約して右入金を債権の弁済に充て当座預金を皆無にしたため右手形の決済ができず、その結果右送金者が手形の被裏書人に償還することにより手形金額相当の損害を受けたとしても、右会社が右銀行からその債務の支払を督促されたこともなく、従来送金を右銀行における当座預金に振込んでも債務に充当されるような例がなく、また当時右銀行との当座取引が継続しており右銀行においてこれを抜打的に解約するような気配も察知されないなど原判示の事情(上告理由参照)のもとにおいては、右送金人の被つた損害の発生について、右代表取締役に商法第二六六条ノ三所定の悪意又は重大な過失があつたものとはいえない。

参照法条

商法266条の3

全文

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