裁判例結果詳細

事件番号

昭和23(れ)319

事件名

窃盗

裁判年月日

昭和23年10月16日

法廷名

最高裁判所第二小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第4号427頁

原審裁判所名

仙台高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和23年2月14日

判示事項

一 窃盜既遂の時期 二 憲法第二八條にいわゆる團結權の意義と大衆運動の合法性の限界

裁判要旨

一 窃盜罪は物に對する他人の支配を侵してこれを自己の支配に移すことによつて成立するものであるが、被告人は、Aの腰提鞄から紙幣を取出し、これを上衣の脇下に挾んでその場を去り、人垣の外の方に逃げ出そうとするところを被害者に感知されて捕えられたというのであるから右紙幣を既に自己の支配内に移し終つたことは明白である。故に原審が窃盜罪の既遂を以て問擬したのは正當である。 二 憲法第二八條はこの趣旨において、企業者對勤労者すなわち使用者對被用者というような關係に立つものの間において、經濟上の弱者である勤労者のために團結權乃至團体行動權を保障したものに外ならないそれ故、この團結權に關する憲法の保障を勤労者以外の團体又は個人の單なる集合に過ぎないものに對してまで擴張せんとする論旨の見解にはにわかに賛同することはできないのである、もとり一般民衆が法規その他公秩良俗に反しない限度において、所謂大衆運動なるものを行い得べきことは、何人も異論のないところであらうけれど、その大衆運動なるの一事から苟くもその運動に關する行爲である限り常にこれを正常行爲なりとして刑法第三五常に從い刑罰法令の適用を排除すべきであると結論することはできない。

参照法条

刑法235條1項,憲法28條

全文

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