裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和23(れ)728
- 事件名
昭和二二年政令第一六五号違反
- 裁判年月日
昭和23年11月30日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第5号515頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年4月21日
- 判示事項
一 憲法第三七條にいわゆる公平な裁判と相被告人との刑の權衡 二 辯論再開及び證據調の限度に關する事實審の自由裁量權 三 刑訴法第三四九條第三項の法意 四 裁判所法第一〇條第一號に該らぬ場合
- 裁判要旨
一 刑の量定は當該被告人に付て各般の事情を斟酌して具體的に妥當とされる處に從うのである。從つて量刑は個別化されなければならない。他の被告人との比較において爲さるべきものではない。それ故本刑の量刑が所論の淵武事件に比して重いとしても、只そのことの爲めに本件の判決が公平のものでないと斷ずることは出來ない。それ故所論の如き不公平を認むべき何等の資料もない。尚憲法第三七條にいわゆる公平なる裁判所の裁判とは組織構成等において偏頗の處なき裁判所の裁判をいうものであること當裁判所大法廷の判例とする處である。(昭和二二年(れ)第四八號事件同二三年五月二六日言渡判決) 二 辯論を再開するか否か及び證據調の限度を定めることは法に特に定められた場合の外原審の專權に屬する處である。 三 刑事訴訟法第三四九條第三項には「被告人又は辯護人には最終に陳述する機會を與うべし」とあるだけだから既に辯護人が最終に辯論した事實ある以上この規定の要求は滿たされているといわなければならない。更にその上被告人に最終の陳述をさせなかつたとしてもこれを以て違法とすることは出來ない。 四 辯護人澤田剛の上告趣意第一點には「憲法第三八條第一項によれば何人も自己に不利益な供述を強要されないと規定され」云々の字句がありこれ丈けを見ると一見同條違反を主張するものであるかの樣にも見えるが、被告人が強要されて自己に不利益な陳述をしたとの事貫は少しも主張されて居ない。それ故裁判所法第一〇條第一號にいう「當事者の主張に基いて法律命令規則又は處分が憲法に適合するか否かを判斷するとき」には該當しない。
- 参照法条
憲法37條1項,刑訴法350條,刑訴法344條1項,刑訴法349條3項,裁判所法10條
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