裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)1339
- 事件名
強盗、強盗幇助
- 裁判年月日
昭和24年10月25日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第14号285頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和23年11月11日
- 判示事項
一 釋放後約一年一〇月後の自白と不當に長い拘禁後の自白 二 被告人が最低限度の生活を營み得ないで爲したという犯罪行爲と憲法第二五條第一項
- 裁判要旨
一 記録に徴するに、原判決において證據に舉示した原審公判における被告人A同B同Cの供述は、何れも保釋により身柄を釋放されてより約一年一〇ケ月後の公判期日に出廷し自由且つ任意に供述したものである、そして被告人等自白の經過を見るに、被告人Aは昭和二一年九月三日豫審第三回訊問において犯行を自白してより其後同年一一月二一日の豫審第四回の訊問、同二二年一一月五日の第一審公判(保釋中)同二三年一〇月二一日の原審公判等において(保釋中)何れも終始一貫犯行を自白している。又被告人Bは、昭和二一年九月一七日檢事の取調べに對して犯行を自白し、其後同年九月十八日、及同年一〇月一五日の豫審第一、二回訊問に對してのみならず、同二二年一一月五日の第一審公判(保釋中)及同二三年一〇月二一日の原審公判(保釋中)において何れも終始自白を繰返している。被告人Cは、昭和二一年九月九日警察における最初の取調べにおいて犯行を自白し、其後同年九月一六日検事の取調、同年九月一八日同年一〇月一五日の豫審第一、二回訊問においてのみならず、同二二年八月一五日の第一審公判(保釋中)及同二三年一〇月二一日の原審公判(保釋中)において何れも自白を繰返していることが明白である。以上の事實に鑑みるときは、原審判決舉示の原審公判における各被告人の供述は不當に長い拘禁に基因してなされたものとは認め難い。 二 憲法第二五條第一項は、國家は國民一般に對し概括的に健康で文化的な最低限度の生活を營ましめる責務を負擔し、之れを國政上の任務とすべきであるとの趣旨であつて、此規定により直接に個々の國民は國家に對して具体的現實的にかかる權利を有するものでないということは、當裁判所の判例とするところであつて(昭和二三年(れ)第二〇五號同二三年九月二九日大法廷判決参照)被告人等が假に所論の如く最低限度の生活すら營み得ないため本件犯罪を犯すに至つたとしても其行爲が憲法第二五條第一項によつて正當化され或は實刑を兔れ得るものではない。
- 参照法条
憲法38條2項,憲法25條1項,刑訴應急措置法10條2項
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