裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)1563
- 事件名
窃盗
- 裁判年月日
昭和24年10月11日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第14号173頁
- 原審裁判所名
大阪高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年4月11日
- 判示事項
公判廷における自白と拘禁四月後における自白との間に因果關係のないことが明かな場合と憲法第三八條第二項
- 裁判要旨
被告人は、昭和二三年一一月二五日逮捕状によつて兵庫警察署に逮捕せられ、翌二六日に勾留状態の執行を受けて以来引續き身柄を拘束されていたことが明かである。そうして原判決は、昭和二四年三月二三日の原審公判廷における被告人の供述即ち略ぼ四箇月の拘禁の後の自白を證據として採用している。しかし被告人は、昭和二三年一一月二六日に初めて本件犯罪事實を警察官に自白して以來、即日裁判官の勾留訊問を受けた際にも、次いで爲された警察官及び檢察官の取調に對しても、更らに同年一二月一八日の第一審公判に於ても、終始一貫して右の原審公判廷におけると同趣旨の自白を繰返しているのであるから、原審公判廷における自白と略ぼ四箇月に亘る拘禁との間に何等の因果關係も無いことが明らかである。かように自白と抑留又は拘禁との間に何等の因果關係も存しないことが認められる場合の自白は、憲法第三八條第二項及び刑訴應急措置法第一〇條第二項のいわゆる「不當に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」に含まれないこと、既に當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第二七一號、同二三年六月三〇日大法廷判決)に示されている通りである。それ故に右の略ぼ四箇月間の勾留が假りに不當に長い拘禁であつたとしても、原判決が證據として採用した被告人の自白が、證據能力の無いものと云うことはできない。
- 参照法条
憲法38條2項,刑訴應急措置法10條2項
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