裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和24(れ)2494
- 事件名
常習賭博
- 裁判年月日
昭和25年2月10日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第16号375頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和24年9月2日
- 判示事項
一 召喚状の送達を受けながら公判期日に出頭しない辯護人の辯論抛棄後結審した場合と辯論權の不法制限 二 公判期日に出頭しない辯護人の辯論抛棄と憲法第三七條第三項
- 裁判要旨
一 原審において被告人の辯護人として辯護士藤田馨及び同Aが選任されて居り原審第三回公判調書によれば昭和二四年八月二六日の第三回公判期日には辯護人Aは出頭せず被告人と辯護人藤田馨が出頭して開廷された藤田辯護人は辯論をしたがA辯護人の辯論は被告人においてこれを抛棄する旨陳べて結審されたことは所論のとおりである。しかし記録によるとA辯護人は同年六月一〇日の第二回公判期日にも同期日の指定告知を受けながら出頭出頭しなかつたので原審裁判所は同辯護人に第三回公判期日の召喚状を送達したのである、ところが同辯護人は右第三回公判期日にも何等の理由なく出頭しなかつたものであることが明らかである。そして右の如く適法に召喚状の送達を受けた辯護人の一人が公判期日に出頭しない場合に他の辯護人が被告人の爲めに辯論した後被告人が出頭しなかつた辯護人の辯論を抛棄した上結審してもこれをもつて辯護權の行使を不法に制限したことにはならないと解すべきである。(昭和二三年(れ)第一九四四號、昭和二四年一二月二一日大法廷判決參照)從つて原判決には所論の如き辯護權の行使を不法に制限した違法があるとはいえない。 二 憲法第三七條第三項には刑事被告人はいかなる場合にも資格を有する辯護人を依頼することができると規定しているがこの被告人の權利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所檢察官等は被告人がこの權利を行使する機會を與えその行使を妨げなければいいのであることは當裁判所大法廷の判例(昭和二四年(れ)第二三八號、同年一一月三〇日大法廷判決參照)とするところである。從つて被告人は辯護人を選任するや否やを自由に決定することができるし、選任した辯護人を解任することも自由にできるのであるから公判期日に出頭しない辯護人の辯論を抛棄することもできるものと云わなければならない、然らば原審が前記の如く圓山辯護人不出頭のまま被告人において圓山辯護人の辯論を抛棄した上結審判決したことは正當であつて前記大法廷判決の趣旨からみて亳も憲法違反であるということはできない。
- 参照法条
舊刑訴法320條1項2項,舊刑訴法410条11號,舊刑訴法39條1項,憲法37條3項
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