裁判例結果詳細

事件番号

昭和24(れ)172

事件名

窃盗

裁判年月日

昭和25年2月7日

法廷名

最高裁判所第三小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第16号347頁

原審裁判所名

広島高等裁判所 岡山支部

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和24年8月30日

判示事項

一 被告人が公判廷において身体の拘束を受けなかつた旨の記載を欠く公判調書と上告の適否 二 自白と補強證據との關係

裁判要旨

一 論旨第一點は、原審公判調書に被告人が「公判廷で身体の拘束を受けずとの記載がない」ことを指摘し、被告人の法廷における身体不拘束は「たとえ保釋中であると否とを問わず一つに之を公判調書に明記してこれを證明せなければならない」とし、この點の不備を以て刑事訴訟法第四一一條の事由あるものとするのである。しかしながら、本件公判期日當時被告人は保釋中だつたのであつて、その場合に公判調書に何らの記載がなければ被告人が身体の拘束を受けなかつたことが推定される旨は、當裁判所の判例とするところであつて(昭和二三年(れ)第一三號事件同年三月三〇日言渡第三小法廷判決參照)論旨は刑事訴訟法第四〇五條の上告理由にならない。 二 論旨第二點は、憲法第三八條第三項を引用するが、もし補強證據はそれのみで犯罪事實全部を肯定し得る程度の證明力を持つものでなければならないという抽象論であるならば、その然らざることは當裁判所判例の繰返し明示するところであるし、(昭和二三年(れ)第二五九號事件同年六月一日言渡第三小法廷判決、昭和二二年(れ)第一五三號事件昭和二三年六月九日言渡大法廷判決、昭和二三年(れ)第九四七號事件同年一〇月二一日言渡第一小法廷判決、昭和二三年(れ)第七八六號事件同年一二月七日言渡第三小法廷判決參照)もしまた、補強證據は犯罪事實の一部についてのものでもよいが、その部分については充分の證明力のあるものでなくてはならず、原判決舉示の傍證にはそういう證明力がないという具体的主張であるならば、それは原審の採證判斷に對する非難にほかならず、いづれにせよ上告の理由にならない。

参照法条

刑訴法48條,刑訴法405條,刑訴法411條,憲法38條3項,刑訴應急措置法10條3項

全文

全文

ページ上部に戻る