裁判例結果詳細

事件番号

昭和29(あ)121

事件名

詐欺

裁判年月日

昭和30年12月20日

法廷名

最高裁判所第三小法廷

裁判種別

判決

結果

棄却

判例集等巻・号・頁

集刑 第111号555頁

原審裁判所名

大阪高等裁判所

原審事件番号

原審裁判年月日

昭和28年11月10日

判示事項

一 被告人甲の私選弁護人を相被告人乙の国選弁護人に選任することと公正な弁護権の行使 ―被告人間の利害相反しない事例― 二 裁判所が被告人の私選弁護人を共犯関係に立つ相被告人の国選弁護人に選任する措置の適否 三 被告人と相被告人が利害相反するに至つたが被告人において弁護人の弁護権の行使につき特別の措置をとらなかつた場合とこの点に関する上告理由の適否

裁判要旨

一 本件起訴状に記載するような共犯関係においては、これをもつて直ちに当然両被告人は利害相反するということはできないから、第一審裁判書が公判進行の必要上当面の急に応じ同一弁護人を選任したこと自体をもつて、直ちに公正な弁護権の行使を妨げる違法な処置ということはできない。 二 被告人は第一審相被告人と共謀の上詐欺を行つたという被告事件につき、被告人が弁護士Aを私選弁護人に選任した場合、第一審裁判所が第一回公判期日に、右Aを相被告人の国選弁護人に選任したからといつて、直ちに右裁判所の措置を以て、利外相反する被告人に同一弁護人を選任し、公正な弁護権の行使を妨げた違法な措置であるということはできない。 三 被告人は第一審被告人と共謀の上詐欺を行つたという事件において、被告人は共謀の事実を否認し、相被告人の単独犯行であると主張し、相被告人は、被告人の依頼されるままに機械的に行動したに過ぎないと主張したからといつて、弁護人Aの相被告人のための弁護権の行使につき被告人において、異議を述べる等特段の措置を取らなかつた以上、被告人が上告理由においてはじめてその主張をなして争うことは許されないものといわなければならない。

参照法条

憲法37条3項,刑訴法30条,刑訴法289条,刑訴法405条,刑訴法38条,刑訴規則29条2項,弁護士法25条

全文

全文

ページ上部に戻る