裁判例結果詳細
裁判例結果詳細
最高裁判所
- 事件番号
昭和33(あ)2284
- 事件名
業務上横領
- 裁判年月日
昭和37年5月1日
- 法廷名
最高裁判所第三小法廷
- 裁判種別
判決
- 結果
破棄差戻
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第142号1頁
- 原審裁判所名
名古屋高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和33年9月4日
- 判示事項
配炭公団の役職員のした寒冷地手当、退職手当、税金立替等の不法支出につき期待可能性なしとして無罪を言い渡した原判決を破棄し、業務上横領罪の成立を認めた事例
- 裁判要旨
被告人が公訴事実一の別表一(3)ないし(6)及び二ないし八の寒冷地手当、退職手当、税金立替金等の各支出行為をなしたる事実が適法に認定されるにおいては、たとえそれが原審の支持する第一審判決認定の如き特別事情の下において行われたものであつても、これにより右支出行為が業務上横領の犯意を欠くものとし又は刑法三五条ないし三九条の規定により犯罪の不成立を来たすものとし、これを罪とならないものと解することはできない。 註。配炭公団の役職員のした寒冷地手当、退職手当、税金立替金等の不法支出につき、第一審判決は、当時の経済情勢、同公団の性格、任務、同公団従業員組合の性格及びその経済的要求に関する労働攻勢その他諸般の情況から右各所為は、真にやむを得ざるに出でたものであつて、他の適法行為に出ずべきことを到底期待し得なかつた事情にあつたものと認め無罪の言渡をなし、第二審判決は、期待可能性の理論については大いに論議の存するところであろうが、社会一般の道義観念に照らし非難すべからざる真にやむを得ざるにいでた右行為は、法律上罪とならざるものといわねばならないとした。なお判文参照。
- 参照法条
刑法253条,刑法35条,刑法38条1項
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