裁判例結果詳細
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最高裁判所
- 事件番号
昭和37(あ)2463
- 事件名
賍物牙保
- 裁判年月日
昭和39年4月22日
- 法廷名
最高裁判所第二小法廷
- 裁判種別
決定
- 結果
棄却
- 判例集等巻・号・頁
集刑 第151号67頁
- 原審裁判所名
東京高等裁判所
- 原審事件番号
- 原審裁判年月日
昭和37年9月25日
- 判示事項
公訴事実の同一性を認められた事例。―詐欺の本位的訴因と賍物牙保の予備的訴因―
- 裁判要旨
一 本件記訴状記載の詐欺の事実と予備的訴因追加請求書掲記の賍物牙保の事実との間に公訴事実の同一性を認めた原判断を相当と認める。 二 (原判断の要旨)詐欺の本意的訴因と賍物牙保の予備的訴因の両者が構成要件、罪名を異にし、前者は甲を被害者とする金員騙取の行為であるのに対し後者は乙会社が遺失物に対して有する追及回復の権利を侵害する行為であつて、両者は被害者及び被害法益を異にし一見恰も公訴事実の同一性を害するもののようであるが、後者において第一ないし第四に分割されている各賍物牙保罪を通じてその基本に存する事実関係が、後者における検察官の罪数的評価にもかかわらず前者の事実関係と全面的に重畳融合していることは、いずれの事実関係も丙が本件小切手を拾得したことに縁由し、被告人から第一審相被告人A、B、Cに順次右小切手の割引換金の依頼承諾がなされ、いずれも右小切手の正当に入手されたものでないことを知りながら敢てなした右一連の依頼承諾に基づき、究極において甲から割引換金を受けたというに帰するのであり、被告人及びA、B、C三名の現実の行為はその内容、日時、場所等同一であつて、この同一の事実関係を本位的訴因は詐欺罪に該るものと評価し、予備的訴因は賍物牙保罪に該るものと評価するに過ぎないのであつて、畢竟両者は基本的事実関係を同じくするものというべく公訴事実の同一性において欠くるところはない。
- 参照法条
刑法246条,刑法256条2項,刑訴法312条,刑訴法256条
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